①「市町村」の人口減少、「どうなるか」から「どうするか」へ向け「シミュレーション」ツール使ってみませんか。 ~佐渡市を例にデータセット~ 

By gkmyhn, 2022年5月6日

(更新)

  • r4.6.16更新:地域規模に応じた事例を記載したツールを提供するため、タイトルに以下のとおり番号を振りました。①市町村 ②旧市町村(2000-10000人程度) ③集落
  • r4.5.16 「 シミュレーション」ツールのバージョンをVer25としました。変更内容は、出生時の男女比率を100対106から100対105.2へ、人口置き換え水準を2.08から2.07と変更したためです。これにより、従来のものと比較すると、5年先の人口にコンマ以下の差異が生じることになりました。
  • r4.5.17  タイトル変更。使用するツールは同じですが、説明用データが「市町村用」「旧・市町村用」「集落用」と異なることを明示するため変更しました。
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はじめに

当ツールは、「どうなるか」の将来人口推計に加えて、「どうするとどうなるか」というシミュレーション機能をつけたものです。そして、それをすると地域はどうなるか、それをしないと地域はどうなるか、人口減少や消滅をどれだけ止めたのか進めたのか、どれだけの努力の過不足があったのか….それらを誰もが具体的な数値で知ることができるようにしました。その結果は、次回の必要で十分な目標づくりに反映できると共に、減少を止める努力を数値で示すこともできます。事例をセットしデータを変えれば自分の地域に使用できるようにしてあります。ぜい、使ってみてください。

1三つのファイルを用意しました。

推計が正しいのかの検証用、佐渡市人口ビジョン用、集落・旧市町村などの汎用ファイルと計三つを用意しました。一つのツールで、いろいろなシミュレーションができますが、過去のものがほしくなる場合があります。再び行うよりもファイルを保存する方が便利です。

(1)人口再生シミュレーション-Ver25-佐渡(社人研データによる検証)ファイル
(2)人口再生シミュレーション-Ver25-佐渡(社人研データによる佐渡市ビジョンを検証)ファイル
(3)人人口再生シミュレーション-Ver25-佐渡ファイル

 

2ファイルの使い分け

前項の(1)ファイルは検証用ですので別にして、社人研方式の(2)、シミュレーション方式の(3)には次のような長短があります。そこで使い分けすることを提案することにしました。まず、地域の将来を展望して「こうなる」は、社人研データで行うのが誰もが一番納得できると思いました。そして、その対策として当ツールのシミュレーション機能で「何をどれだけすると、どうなるか」を数値化することで差異分析もできると考えました。

 

3各ファイルの内容

(1)人口再生シミュレーション-Ver25-佐渡(社人研データによる検証)ファイル

まず、シミュレーションを行うには、社人研(国立社会保障・人口問題研究所)による佐渡市の将来人口推計に使っているデータと、それを活用しての2015年を基点とする結果が一致しないといけません。社人研サイトの(ここ)のデータをダウンロードしてテストしました。

結果は、基点となっている2015年から2045年の30年間の誤差が15名でした。年齢不詳者の存在、端数調整の違いなどを考慮すると、これでよいのかと思っています。

この①ファイルは、以上の照合のための検証用ファイルです。正しいデータが別にあるのであれば、わかったときに修正しようというためにアップしておきました。これを動かしてみる必要はないと思います。

(2)人口再生シミュレーション-Ver25-佐渡(社人研データによる佐渡市ビジョンを検証)ファイル

これは、前①の社人研データを基にして基点を2020年にして佐渡市の数値目標を例にシミュレーションしたものです。

事例は佐渡市「人口ビジョン」

次の項目は、佐渡市の人口ビジョンの抜粋で、これをシミュレーションの数値目標とします。

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  • を2060年33,000人の人口を目標とする。
  • 合計特殊出生率を5年毎に0.07アップして、2060年に2.08とする。
  • UIターンを20-44歳までの年齢層に入れる。

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〇2060年までの設定

40年後の2060年に33000人程度になるようにした例です。数値目標の合計特殊出生率は、佐渡市の計画どおり2060年までに0.7づつアップし、人口の置き換え水準を満たす2.08にする...ことでセットしました。そして、移住する年齢は、仮に20-24歳の女性にてみました。20-24歳に絞った例ということは、子どもも誕生しやすい年齢ということであり、他の年齢層すれば多くのUIターンが必要ということになります。  シミュレーションしてみると、佐渡市の数値目標は、20-24歳女性に1000人(年間200人)を入れときに2060年に33千人余りになりました。

〇2065年以降の人口の推計

佐渡市の目標は2060年とあります。人口には慣性があり、今の対応が成果を出すのは数十年先の場合があります。そこで、さらに先がわかる方がよいと考え、その後のデータとして出生率は2060年に2.08になったものを継続する仮定を設けました。また生残率は2060年の数値を将来に継続、移動率も2060年のものを将来に継続しました。そして、UIターン者本人は二度と流出しない前提、生まれる子どもは佐渡の他の子ども同様の移動率とする仮定を設けて計算してみたものです。

〇差異分析ができない

社人研のデータは、各市町村が使っているデータかもしれませんが、以下のとおり実態値との差異が大きいため、PDCAサイクルの「C」ができません。このファイルは使わない方がよいかなと思っていますが、行政のデータとと同じ方が検証などにはよいかと考え、今回は当ファイルを使って動かすこともできるようになっています。

の図表は、佐渡島外との移動率の実態と社人研が①②で設定している数値の差異です。人口千人に対して10人の単位の差だとすると人口1万人口だと100人単位の差となります。5万人人口だとかなりの違いです。だから、これを基にした前述の年間200人のUIターン者を目標にして達成したとしても実態との差異分の違いが生じることになります。

社人研の数値は、いろいろなことを考慮している仮定値だと思います。だから「地域の将来はこうなる」に使うのは適していけれど、直接そこから数値目標をつくり比較評価するのは、実態値を基に推計し、結果として30年間にわたり5年後の誤差1%未満で推移している佐渡には適していないと思います。他の地域で使用する場合も、確認のうえ使った方がよいと考えます。

  • 仮定値と差異分析しても目標数値に対して必要十分条件となるデータはでないためです。

 

 

 

 

 

 

(3)人口再生シミュレーション-Ver25-佐渡ファイル

これが、集落、旧市町村などで使ってもらおうと思うツールです。

事例は前②と同じ佐渡市「人口ビジョン」です。出生率は、②で説明した2060年までに0合計特殊出生率を0.7づつ改善して2.08にさせる設定、それ以降は2.08を維持することも同じです。移動率は、②で書いた矛盾を無くすために佐渡の2015-2020年の実態を計算してセットしました。

生残率は、前②とは異なりに新潟県の令和2年の簡易生命表を使っています。 これまでは、新潟県の生残率を使っていました。生残率は一定規模の人数のものでないと安定した数値は得られないと教えてもらったからです。なお、市町村単位の生命表もあります。どれを使うかは当ツールを使う方々にお任せします。差異がどれだけあるかを確認のうえ、特徴を知ってから使うことがよいと思います。

〇移動率と生残率の関係

移動率計算をする場合、二期の国勢調査で年齢別の人口は決まっているから、その差は生死か移動です。二期間が確定しているならば、生死が少なければ移動が多いことになり、前者が多ければ、後者が少ない関係です。仮に生残率が実態よりも高い場合、移動率が実態よりも低くなるけれど、合計としての率では正しいものになるわけです。  両者をバラバラに使わなければよい….ということなる関係です。 具体的には、地域からの出入りのない状況で人口推計する「封鎖人口」さえ計算しなければよいことになります。

左の表は、これまで使用してきた新潟県の生残率と社人研の生残率を人口千人当たりの差として示したものです。見ると高齢者層で異なっていますが、これはますます長生きするということ考えられます。

このため、 佐渡の2015-2020年の生残率だけを使うということは、長生きする高齢者を反映できず人口は少なめに計算されるということです。ここでは、差異分析をやりやすくするために、2020年→2025年の社人研の生残率を基に移動率を計算して、その数値を将来ともに使うとしておくよ。結果として、推計値よりも高齢者数が多くなる可能性があるけれど、差異分析では、人数を多くする策を作ったのではなく長生きの結果...とみることになります。

〇計算結果

こうして推計した結果、必要なUIターンの人数は、20-24歳女性で年280人(5年間で1400人)となりました。 ②のツールでは年200人(5年間で1000人)だったから、どちらのファイルを使うかで年間80名の違いが出てきます。

〇集落の人口推計シミュレーション・ツールは当ファイルを活用

「集落の人口再生シミュレーション・ツール」は、当ファイルを基にデータをセットしてあります。

〇合計特殊出生率シミュレーション

これは、③フィルの出生率の計算に「母親年齢別の出生数」を基に計算した合計特殊出生率を使ったものです。下の図表は、令和2年の合計特殊出生率計算表の見本です。INPUT欄に計画目標値を入力して推計のための計算をすることになります。

合計特殊出生率は、その年によるブレがある可能性があります。しかし、その年時の実態を基に年齢別の出生目標と対策を練ることは差異分析も容易であり、また結果管理だけではく進捗管理にも使えるのでよいでしょう。このため、将来推計の出生数は「子ども女性比」を使って出し、進捗管理には合計特殊出生率を使うのが最もよいと考えます。

 

4使ってみるための手順

まず、「ちょっとだけ触れてみよう」という方の手順を記載し、その後に集落その他に使えるか「一通りやってみよう」という方への手順を加える順序で説明します。

(1)どんなツールか、ちょっと触れてみよう...という方へ

①まずは、(ここ)をクリックしてツールをダウンロードし保存ください。

    • エクセル2019、拡張子xlsm、大きさ1200kb、ZIP形式。マクロを多用しています。
    • ウィルスはありませんのでマクロを有効にしてください。
    • ダウンロードしたらzipファイルをクリックしてツールを開き、「マクロが無効にされました」には「コンテンツの有効化」をクリックしてください。

②では、ツールを使って既に計算されている過程を「なぞる」形で将来人口の推計をしてみます。

できれば、「人口再生シミュレーション-Ver24-汎用」ファイル⇒「人口再生シミュレーション-Ver24-人口ビジョン」ファイルの順で触れてみて下さい。後者は、間違うとデータが消えるため一部使えないようにしてあります。

    • 「推計」シートを開き、「推計開始」ボタンをクリックすると、「何年間分計算しますか」と問われるので、今回は小文字で「500(年間)と入力し「OK」をクリックください。 ※用紙に手書きで計算して記録するのをマクロを使って繰り返すやり方です。パタパタ写真のように1分間あまり動きます。
    • 終わると、「終わりました」と表示されるので「OK」をクリックして終了します。 
    • 「合計」シートを開くと300年間分記録されていますので確認ください。

(留意点)

  • マクロが動き、この表を使って5年単位で300年分(60回)計算と記録を繰り返しますので少し時間を要します。
  • なお、エクセル2019は重い?せいかマクロ計算に画面がついていかない場合があるようです。その場合もバックでは計算されていますので少なくとも1分間は待ってください。
  • 「終わりました」の表示がなされますが、終わったのに表示されない場合があります。画面の任意の場所をクリックすることで表示されることがあります。
  • また、計算途上でも「ESC」キーを長押しすれば中断します。(中断後に再びクリックしても大丈夫です)

③次にシミュレーションに移ります。

    • 「増減2」シートを開いて上の方の増減欄をご覧ください。数値が既に入っています。

20-24歳女性は、もっとも人口の再生産力ある年齢として例にしてあります。他の年齢の場合は更に必要な数値は高くなるでしょう。

    • 次に「推計2」シートを開いて、「推計開始」ボタンをクリックすると、「何年間分計算しますか」と問われるので、今回は小文字で「505」(年間)と入力し「OK」をクリックください。※「推計2」では、「推計」で「入力した数値+5」としてください。
    • 終わると、「終わりました」と表示されるので「OK」をクリックして終了します。
    • 「合計2」シートを開くと、シミュレーション部分の合計が記録されています。

④「総合計」シートを開いて「統合」ボタンをクリックください

これは、「合計」シートにある通常推計、「合計2」シートにあるシミュレーション結果を合計したものです。

    • 「グラフ500」シートを開いて左側にある「総合計転記」ボタンをクリックすると、「総合計」シートの合計欄を転記しグラフ化されます。

⑤「一括」シートを開いてください。

これは、どのような地域なのかという推計地域の現状を前もって知るための情報を幾つかマクロを使って計算し表示するところです。

    • 「実行」ボタンをクリックすると「5種類の計算をします」と表示されますから「はい」をクリックください。(以下、1種類毎に「はい」をクリックすることになります)
    • 「終わりました」に「はい」をクリックするとグラフが表示されています。(グラフの見方は同シートの上部に記載した「説明」欄をご覧ください)

⑥「一括2」シートを開いてください。

これは、地域の再生の目安をマクロを使って自動計算させるシートです。

    • 前項同様「実行」ボタンをクリックして進んでください。(見方は、グラフ横に記載した「説明」欄をごらんください)

※「一括」で現状を知り、「総括2」で再生へのハードルの高さを前もって知っておくと、シミュレーションで入力するべき数値の程度が大体わかります。

⑦「一括3」シートを開いてください。

これは、消滅しない地域をつくるための考え方の一例です。総人口が減少する中で、雇用に裏付けられたコアの人口が雇用年齢全体に広がり、出生する子どもを安定させ、リタイア者も含めて全世代が安定した人口となるというものです。(詳しくは、グラフ横に記載した「説明」欄をごらんください)

  • 「実行」ボタンをクリックすると「2種類の計算をします」と表示されますから「はい」をクリックください。(以下、1種類毎に「はい」をクリックすることになります)
  • 「終わりました」に「はい」をクリックして終わりです。
  • 左側の▲▼ボタンをクリックすると、その右側にあるグラフが動きます。(人口減少の中でコアとなる人口が全世代に増えていく様子がわかります)

(2)さらに、集落へ活用してみよう!...という方へ

まず、次の手順でリセットします。

ここで行うことは、「一括」「一括2」「一括3」の各シートで行った自動計算の痕跡が残っているため、それを消すための操作です。

①「資料」シートを開いて、左側の一番下にある「出生率」欄をを出す 右側にある「(1)子ども女性比」ボタンをクリックする。 (「出生率」欄の「№」が「1」となったことを確認ください)

②「増減」シートを開く 「出生率」欄の右方にある「出生率消去」ボタンをクリック⇒その左側の「出生率を資料から呼込む」ボタンをクリック さらに左側にある「出生率コピー」をクリック

③「合計」シートを開いて一番上にある「合計消去」ボタンをクリック

④「推計」シートを開いて、デモ版の最初に行ったと同じく「推計開始」ボタンをクリック 「何年分を計算しますか」には「500」と入力して「OK」クリック

※このシートは、一度行うだけの場合が多いため、この時点で将来人口推計の計算をしておきます。(シミュレーションは推計2シートで行います)   現在のデータを500年先まで使う意味は、今のまま進むとどうなるかの傾向を知ることと、人口には「慣性」があり、対策しても成果は数十年後のことが多いため、長期傾向をみるためのものです。

⑤「総合計」シートを開いて上にある「合計消去」ボタンをクリック 「合計2」シートを開いて「合計消去」ボタンをクリック

⑥「推計2」シートを開いて、「出生率」欄の右方にある「出生率消去」ボタンをクリック ⇒その左側の「出生率を資料から呼び込む」ボタンをクリック ⇒その左側にある「コピー2」ボタンをクリック

⑦「増減2」シートを開いて、最も上にある「増減数」欄で、「女性」「男性」の表に入力してある数値を全て消去すると全て終了です。

「UIターン等の入力」の仕方

①「増減2」シート

下の黄色の表は、UIターンなどの増加計画を入力するもので、その一入力例を表示したものです。推計計算では、まず推計シートへ5年ごと年時の男女別年齢階層別の生残率、移動率、出生率、そして当表からも該当する年時に入力されている数値を呼び込みます。これを、希望した年数分をを繰り返して計算し記録します。

留意点-1;

年間100名のUIターンを計画する場合は、表は5年単位ですから”500″と入力する

ことになります。また、事例に2020年に”200″の入力がありますが、入力した2020年は生残率、移動率、出生率を考慮せず入力した”200″の数値が加えられるだけです。他のセルも入力した年時は同様ですので注意ください。特に、2020年に入力した場合は、国勢調査の人口に上乗せされた人口が「合計」シートに表示されることになるため、私の場合は2025年からの年時に入力することにしています。

留意点-2;

①「増減」シートの「増減数」の男女に入力 (考え方は・・・このようなことを行い、何年から何年まで、何歳の女性及び男性を何人…佐渡で住んでもらうか・・・とするとよいと思います)

※初期設定では、移住した人は・・・下方の「新移動率」で移住者は二度と流出しない、その下の「旧移動率」で生まれた子どもは島内の子どもと同じく流出し流入する・・・としてあります。

②入力したら、「推計2」シートで「推計開始」ボタンをクリックして、計算期間は「305」と記載して「OK」をクリックしてください。 計算が終了したら「はい」をクリックします。

一年間に20人の移住を想定する場合、入力する数値は5年分ですので「100」となる点に注意ください。また、300年間分を計算するのに5年間分を加えた「305」と入力する意味はプログラムミスです。

③「合計2」シートが、その結果です。(すでにリセットしてあるので、後は①~③の繰り返しだけです)

※気に入ったシミュレーション結果がある場合だけ「総合計」シートで「合計消去」ボタンを押したうえで「統合」ボタンをクリックして、通常推計の結果である「合計」とシミュレーション結果である「合計2」シートの総合計を出せばよいと思います。

5注意を要する事項

(1)入力する数値は、現状へ上乗せする数値です。

例えば、次のグラフは佐渡島の島外との流出入率です。中央の「0」の線から上の部分が転入となります。数値で示すとグラフの下にある表の人数となります。したがって、例えば令和2年10月~令和3年3月の欄に920人の転入とあります。この人数に上乗せする形で、シミュレーションで200名を入力することになります。

(2)移動率グラフをみて、異常値や不自然な数値、どうしてかわからない数値は原因を調べましょう。

グラフはテンプレートの「移動率計算書」にあります。この計算書の「修正」欄で増減します。平常の年にはない異常値は、誘致企業があり従業員が移住したとか、アパートができて住む人が増えたなどの際におきます。

 

(3)人口の減少数をあげると、その9割以上は亡くなる人の数(ここ)です。下図の残った人たちの人口構造(人口ピラミッド)を安定することに視点を移しましょう。

 

(4)生まれる子どもの男女比を変更しました。

人口再生シミュレーションのVer23から、「男の子106に対して女の子100」を「105.2対100」に変えました。理由は(ここ)をご覧ください。

(5)人口の置き換え水準を変更しました。

人口再生シミュレーションのVer23から、「2.08」を「2.07」に変えました。理由は(ここ)をご覧ください。

 

6ツールの全体説明

以下で取り上げる各表の「白抜き」文字部分は、ツールのエクセルの「シート」名です。なお、全容図は(ここ)にあります。

(1)準備

次の表は、各地域の推計やシミュレーションをするために用意するデータです。この作業が一番面倒だなと思ってしまう部分です。でも、誰もが行っている「仕事」と比較すればなんでもないことですし、これが終われば後は、地域がどうなる、どうするというゲームみたいなものです。なお、今回は佐渡島の数値を例として前もってセットしてあります。

人口;

後に公開するツールで全国の各「集落」ごとの推計ができるように、集落別(小規模地域)のデータを入手先としました。

生残率;

完全生命表を使うべきですが、国勢調査の後、かなり期間をおいて発表されるものです。欲しいときにない状況になりますので、各都道府県が作成している「簡易生命表」を使うようにしてあります。その理由はシミュレーションでは、「人口の再生力を診る」(一括3シート)にある「封鎖人口」計算以外は「生残率+移動率」のセットで使用します。二期間の国勢調査で人口が確定している中、その年齢階層に生残率を乗じて生残者数を決め、合致していない部分を移動率として表す性質もあるため、仮に生存率に高低があれば移動率で調整しているとも言えるからです。
このツールを使う方には、気楽に5年後の人口を「当てる」ための「ゲーム」という感覚でシミュレーションしないと長続きしません。その点では、30数年前から行ったシミュレーションですが、最初の5年後の誤差が2.8%であった以外は、以降30年間の各誤差は1%未満でした。明日の天気予報を信じて傘を持ち、洗濯の有無を判断をする方であれば、比較にならないほど当たります。ただ、責任ある立場であったり使う方の性格から、当たるか否かではなく正規のもので行う必要があるという場合は、簡易生命表からだけでなく完全生命表から生残率を計算するテンプレートも用意してありますので使用ください。

移動率;

平成27年と令和2年の男女別、5歳年齢階層別の国勢調査と前述の生残率を使いテンプレートで計算します。平成22年データ入手先も紹介してあります。これは、初めて行うと「これでよいのか?」という不安がでます。これを検証するため、その前のデータで推計してみて、既に確定している令和2年国勢調査の人口との誤差を知るためのものです。誤差がある場合、二期間の移動率のグラフを比較できるようにしてありますので、各年齢層毎の差異をみて、その原因を考えてみてください。なお、社人研の移動率は将来の動きを想定した仮定値となっています。「地域はこうなる」という将来展望として使う場合は、多くの方々に納得してもらえると思います。但し、計画としての対策をつくり実施する場合は、PDCAサイクルの「C」チャック作業として差異分析がしやすいよう、過程値ではなく地域の実態を示す数値を使った方がよいと考えています。以下に行うツール説明でも、そのような観点からしてあります。

出生率;

令和2年国勢調査の0-4歳人口と出産年齢15-49歳女性人口の比率から計算しています。これが長期的には最も実態に即しており精度も高いようです。なお、短期的な目標づくりや差異分析をするには、年齢毎の出生率を計算する合計特殊出生率がよいでしょう。その年により変動することが多いですが、その場合でも実態との差異を検証する機会にはなるでしょう。なお、合計特殊出生率の計算表が「6の(2)の④」で掲載されています。

(2)転記

このツールは、エクセルを使っています。その「資料」シートへ前項で調べた人口、生残率、移動率、出生率を転記(セット)する作業です。

(3)事前把握 

これから使う方にとっては、自分の地域が人口的にどんな地域であるかを前もって知ると後のシミュレーションが効率的にできます。初めてシミュレーションする方は、真正面から力づくで減少を止めることの難しさを感じると思います。私は、そこが始まりだと思います。駄目だと思ったところから新たな始まりがあることが多いからです。私の場合も、きっと人口の挽回はできないだろうと諦めたときに「安定人口理論」(ここ)を知ったことがキッカケになって、「人口の安定化」(一括3シート)を考えてみようと思いました。ぜひ、シミュレーション・ツールを使っていただき多種多様な対応策を考えてみてほしいと思います。

「一括」シート;

“人口の現状を診る”ためのものです。ここでは、かつての朱鷺みたいに再生力がないか(封鎖人口)、若者流出が止まると人口減少はどうなるか、出生率が2.08になると人口減少は止まるか、封鎖人口で出生率2.08になるとどうなるかについて、クリックするだけで自動計算で知ることができます。グラフの判断は、右肩上がりか逆か、その程度を診ます。

「一括2」シート;

“人口の再生の目安を知る”ためのものです。希望する人口を記載すると、20-24歳女性を例にして何人のUIターンが必要か、UIターンが現状のままだとすると15-49歳女性が何人の子どもをもうければよいのかを自動計算で知ることができます。また、UIターンが毎年何人、夫婦あたり子ども数が何人ほしいと記入すると、人口は何人になるかの計算もします。

「一括3」シート;

“人口の安定化”を目論んだシートです。私個人の提案です。興味のある方だけ一括3シートの説明に沿って操作してみてください。佐渡島の場合、先5年間は大きなチャンス(ここ)がありますが、万一駄目だった場合は一考ください。

(4)シミュレーション

「増減2」シート;

まず移動率と出生率を「資料」シートから呼込み、必要な推計期間分コピーし、また必要な場合は個々の数値を変更します。次に、「5の(1)」で説明するようにUIターン数を男女別、年齢別そして5年単位の年時別に記入するシートです。各年時のデータは、特定箇所の変更をする以外は、コピーボタンなどで一括操作できます。

「推計2」シート;

計算するシートです。必要な期間を入力し”OK”をクリックすると、増減2シートからは該当する年時の生残率、移動率及び出生率を呼び込み計算します。

「合計2」シート;

推計2シートで計算した結果が年時別に自動記録されるシートです。

「増減3」「推計3」「合計3」の各シート;

UIターンする15-49歳女性の場合で、既に二人の子どもがいる等で、これ以上は子どもはもうけない人を入力するシートです。入力などの仕方は、「増減2」「推計2」「合計2」に準じます。

(5)通常推計

いわゆる人口推計をするシートです。シミュレーションは、いわゆる将来人口推計をする部分と、UIターンなどの策で増加させる計算シートに分かれています。

「増減」「推計」「合計」シート;

入力の仕方は、前項の「④シミュレーション」にある増減2シート、推計2シート、合計2シートに準じます。

「総合計」シート;

このシートは、「統合」ボタンをクリックすると「シミュレーション」の「合計2」「合計3」と「通常推計」の「合計」を総合計するものです。

「グラフ」「ピラミッド」シート;

グラフシートは、シート左側にあるボタンをクリックすると、「合計」又は「総合計」シートの年時別の人口の合計数値が転記されます。幾つかのシミュレーションを行って比較する場合にはグラフにするとわかりやいです。

また、ピラミッドシートは、左上側にあるボタンをクリックすると、「合計」又は「総合計」シートの男女別年齢階層別人口が転記されます。手動でピラミッドの変化がわかるようになっています。グラフとは異なる”見え方”があります。
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4必要データの入手先

次に、このデータがあるサイトを紹介します。ツール公開の際にはエクセルに「はじめに」のシートを追加して記載しておきますが、事前にダウンロードしたりご覧になったりしてください。

①全国の市町村別及び集落別人口 (e-Sat)

令和2年小地域集計

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00200521&tstat=000001136464

平成27年 小地域集計

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00200521&tstat=000001080615

平成22年小地域集計

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=2&toukei=00200521&tstat=000001039448

(入手の手順)  

+■小地域集計」の「+」部分をクリック

⇒該当する「都道府県」クリック

「3 男女,年齢(5歳階級)別人口,平均年齢及び総年齢-町丁・字等」をダウンロード

⇒エクセルで開くと該当する集落あり。

※数が多いため縦に長く総数⇒男⇒女と別々に掲載されています。

②生残率
〇社人研サイト;

次のURLに全国の市町村別「移動率」「生残率」があります。当ツールでは、①と②のシミュレーション・ツールで使用しています。
https://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/4shihyo/Municipalities.asp

該当都道府県フォルダをクリックすると市町村別に掲載あり→コピーして自分のエクセルファイルへ貼り付けます。

※ファイルをダウンロードせずともよい位のデータ量です。

〇厚生労働省 (e-Sat)
サイト;

完全生命表 正式にはこれですが、国勢調査からかなり後の発表となっていますので今回は使いません。ただ、皆さんに納得してもらう資料として使うには、当初は簡易生命表で行ったとしても発表後に使用して人口誤差を承知することが大切と思います。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450012&tstat=000001031336&tclass1=000001060945

〇都道府県サイト;

新潟県のサイトの例を表示します。これを参考に他の都道府県の方もさがしてみてください。
●簡易生命表 ※生残率計算に使用

https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/fukushihoken/1210179683943.html

●母親年齢階層別出生数  ※合計特殊出生率計算に使用

1-8-1 出生数、性・母の年齢(5歳階級)・保健所・市町村別 [Excelファイル/17KB]

https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/fukushihoken/nenpo-reiwa03-01.html

●人口移動表(出生数、転出数) ※10月1日~翌年9月30日と国勢調査と同じ

https://www.pref.niigata.lg.jp/site/tokei/1356842262748.html

該当年クリック→第3表 市区町村別人口動態 [Excelファイル/30KB]

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