既に起きた未来を観察しよう(ドラッカー) ~その2 過疎化で直面する決断の場面 ~自己責任と法的責任を念頭に決断した私の場合~

By gkmyhn, 2023年8月31日

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1これまで経験しなかった出来事 ~身に染みた「老後の初心忘るべからず」~

父:  実家に入って10年。地域のこと、神社のこと、家のこと…今まで経験したことがない初めてのことばかりだったよ。

娘:  それが見出しにある世阿弥の言葉ね。多くの人は、もっと若いうちに経験することばかりなのに!

父:  おかげで、地域の現状、問題や課題、それらが自分へ影響する事柄もわかり、「老後の初心」の意味の一つ「老後には老後に成すべき新たなことがある」ことに気づけて手を打てたよ。

娘:  例えば、どんなこと?

父:  うん。特に自己責任と法的責任を意識した以下の5点を紹介するよ。

娘:  不動産のことが多いね。必要無くなったらどうするか、そこに自己責任と法的責任が絡んでくるのね。

父:  そうだね。過疎化の過程で自分の子どもがとどまらなければ私と同じようになる。

娘:  自分の子どもが島内にとどまっても、その子の子どもがとどまらなければ問題が先に行くだけだよね。ということは、どの段階でも不動産を先々の代でも困らないように手を打つ。それが各年代の責任ということかもね。神社の場合も同じ考え方が必要だね。

父:  そうなんだ。神社の場合も同じと思う。泉地区は、20年前よりも人口は多いんだ。それでも神社の維持は今も将来も難しいとの判断になったよ。

娘:  なぜなの?

父:  新しい家がドンドン建つよ。一つの集落ができるほどだよ。どこの市町村も移住をねらっているよね。その将来の姿の一つだよ。

娘:  多くの地域の目標が達成された地域なのに「閉社、閉堂」する...どういうこと?

父:  移住者って、地域の仕事を手伝うために住むわけではないし、氏子になったり責任役員になるつもりで住むわけでもないよ。

娘:  なるほど。これまでの人達が中心になって神社の維持は行うことになるんだね。過疎化の現場では、そのようなことが起きるのね。

父:  そう思うよ。人口減少対策は、自治体として可能な限り存続する方法を模索することともいえるよ。自治体として残ることと、個々の家庭が残ることとは別だよ。

娘:  移住者を集落に振り分けるわけではないし、また、知らない地域に住むことになれば、同じような人達で精神的なコロニーをつくるのが普通よね。文化的な摩擦もある可能性が出るし…

父:  起業者も同じだよ。ここに書いた「記事」の私が実家へ入って、今「終活」で行ったと同じことを将来行うスタート地点にたったと言えると思う。

娘:  ここで記載したようなことが起きない工夫をしてほしいために「起業」についても触れたのね

 

(1)迷いながら決断した”家じまい”

父:  一つは、子ども達も継がない家は「リースバック方式」で処分することにしたよ。我が家の土地の現状では、この4月にできた「相続したが利用しない土地を手放す制度」もできないよ。そうなった場合、子どもが相続放棄し、兄弟が放棄しても管理責任が放棄した皆にも出てしまい、将来にわたり負担をかけることになると思ったんだ。

娘: その結論が「 家じまい」ね。

父:  もし空き家としての活用ができたとしても、私が直面する問題を子ども達へ先延ばしするだけで、そのときは更に相続者も増え解決が難しく迷惑をかけると思ったんだ。

娘:  思い切った決断だね。

父:  そうだね。子ども達は実家に住んだことはなかったけれど、叔父さんなど深い思い出がある人はいるしね。今回の「記事」に共通する「良いことではないけれど仕方ない」が結論だったと思う。

(2)断念していた未登記農地の登記の試み

娘:  相続登記の義務化って令和6年4月の話よね。

父:  そうだね。所有者不明の不動産が全国では”九州”の広さ位あるらしいよ。

娘:  その問題もあったの?

父:  そうなんだ。全ての不動産を譲渡してホッとした昨年末のこと。新聞記事で「相続登記が義務化される」という新聞一面の広告?が出たよ。実は、私の生まれた76年前に祖父が購入した農地で、登記せずにいて今も100年以上前に亡くなった島外の他人名義になっていたものがあったんだ。

娘:  前に聞いたから知っているよ。調べたら相手方の相続者は全国に散らばっているし住所がわからない人もいる。これまで問題なかったし、万一の場合は知らずに使用していた”取得時効”もあるから放置しようと思ったのよね。ところが来年、それは許さないと相続登記を義務化が始まる訳ね。

父:  そう。弁護士さんに相談したら、いつか先方に連絡がいき問題が生じることが将来あるだろう助言されたよ。それが私の死後、先方と私の子ども達の間で起きると今以上に複雑になり困ると考えたよ。

娘:  “家じまい”して「戦いすんで日が暮れて」という気持ちだったのが、直後に問題が出て「日暮れて道遠し」となった…ということだね。運が悪いね!

父:  そう、ところが運よく当時の購入領収証を見つけたこと、農地解放に関係していたため県と国が絡んでいたこと、相談した司法書士、県担当者が親切に粘り強く解決にあたってくれたことで、この8月に私の名義になったよ。

娘:  全不動産の譲渡が昨年12月、未登記農地の相続手続きへ挑戦?が今年の1月でしょ! 7カ月かかったのね。その農地はどうするの?

(3)相続したが利用しない土地を手放す制度の活用

父: 令和5年4月27日からできた制度だよ。ほらっ、前項(2)で未登記農地があると言ったよね。そんな土地を国に引き取ってもらう制度ができたんだ。未登記の農地があり困っていると知り合いの弁護士さんに話したら、「4月27日になると新制度ができるから、それまで死なないでね」と言われたよ(笑い)

娘:  いつも、お父さんは運がいいのか悪いのかわからないことが起きるよね。

父:  最終決断ではないけれど、相続した土地の「国庫帰属制度」の相談を、新潟県内を担当する新潟法務局を訪問してしたよ。結果は、同制度の適用を申請した場合、却下や不承認になる点は、今は見当たらないとの話だったよ。もちろん、担当者の個人的な考えであり正式なものではないとの断りがついたけどね。

娘:  なるほど。

※相続土地の国庫帰属制度のことで悩んでいる方、コメント欄に記載いただければ相談の仕方や当日の様子、私の場合の相談内容例を可能な範囲でお教えします

(4)神社の合併と二つの堂の閉堂 ~直面して感じた難しさを法的責任の観点から~

父: 平成30年から令和3年にかけて「 神社」を合祀(吸収合併)、関連する二つの「堂じまい」に携わったよ。

娘: 継承しようという動きが多いなかで思い切った対応ね。

父:  そうだね。年々「氏子」や「講中」の方が減少と高齢化し、次の代では多くがいなくなり、子ども達の代は極端に少ないことになるよ。その中で、屋根が空が見えるほどに崩落したんだ。当面の修理費と今後のための積立の開始などを考慮すると、今のままの継続は難しい、また次の代では更に困ることになると氏子や講中の集会で決まったんだ。

娘:  神社やお堂の法的責任って何のこと?

父: 企業を例にすると、会社では社長-部長-課長のほかに、会社を運営する代表取締役-取締役という役職があるよね。

娘:  そうだね。

父:  佐渡には250ほどの神社があるけれど、みんな会社と同じ法人(宗教法人)だよ。だから、会社に準じた代表役員をトップに4-5名の責任役員がいるんだ。

娘:  お祭りの前の準備やお祭りは氏子の人達が行っているよね。この人達が神社の運営も決めるのではないの?

父:  氏子は、あくまで「信じる」ことだけで繋がっているんだ。神社の運営は、宮司さんを代表とする責任役員で決めるよ。

娘:  そうすると、この責任役員の仕事と法的責任が関係あるのよね。

父:  うん。責任役員は、一旦就任すると後任者が決まるまで辞職できないんだ。氏子が少なくなっていく過程でおきる運営に不都合な事柄、その解決のための必要資金、万一の第三者への損害賠償など、今後の全ての責任を負わなければならない可能性はあるよ。

娘:  お祭りして境内を掃除して寄付金をもらって修繕する…この流れをできるところまで行うが現在の状況と思うわ。責任役員になると、これでは済まない更なる法的責任があるのね。

父:  そうだね。神社庁から承認されると思わないけれど、例えば神様だけ他の神社へ遷座してもらって、残った神社の建物や境内地は残すという選択が仮に可能の場合、どうなると思う?

娘:  わからない。逆に聞くわ、どうなるの?

父:  きっと、対象となる御神体がないから、旧神社の氏子はいなくなるね。会社に準じるから建物や境内地が残っていると解散はできないから、その後は清算法人として旧責任役員が就任せざるをえなくなるね。

娘:  ということは、残った建物や土地の管理は、責任役員が行うということね。それはリスクが大きすぎるね。

父:  もとろん、実際のことはわからないけれど、そうなるのが自然の流れと考えたよ。それがテーマとした法的責任の大きさの意味なんだ。

娘:  お父さんは責任役員だったの?

父:  そうなんだ。氏子集会では境内社を建てさせてもらって解散すると決まったけれど、吸収合併方式だから土地建物があっては引き受けてもらえるところはないよ。だから、御神体を引き受けてもらえる神社をみつけ遷座いただき、残った土地建物は後で考える…それはあり得ないんだ。

娘:  そうだよね。自分達が継続できない神社を、「そのまま引き取る」と言ってもらえることは普通はないよね。

父:  今思えば、責任役員に就任せざるを得なかったことが、「もう自分のためにも後へは退けない。何とかして所期の目的を達成しよう」という気持ちになったんだと思うよ。

娘:  土地建物の譲渡先さがしに9カ月ほどかかったものね。

父:  そうだね。あちらこちら声掛けとお願いをしたけれど、一巡目は全て断られたよ。そうなるとは思っていたけれど現実の厳しさを感じたよ。

娘:  諦めかけたの?

父:  諦めざるを得ないと思ったこともあるよ。長老と話していたときに「やはり土地建物をなくすことが重要課題。これをクリアしないと合併も解散もできない」ということになり、二巡目の譲渡先さがしをしたんだ。

娘: その過程で、「社長は、泉地区にはお世話になっていると思っている。泣きつけばなんとかなるかもしれないよ」という助言があったんだよね。

父:  そうなんだ。それで、責任役員でもある長老と一緒にお願い訪問し、最終的には代表役員の宮司さんと社長の間で譲渡に関する競争入札への参加を約束してもらったんだ。

娘:  なるほど。

父:  「きっと、どの会社も入札に参加するところはないでしょう」と言われる中、そのとおり誰も応じない中で入札に参加してもらったんだ。あの時のホッとした嬉しさは今も忘れられない! 経緯を知らない中には、「何か得になる条件を提示したのでしょう」という風に思われるかもしれませんが、全くそのようなことはなかったよ。

娘: そのような経緯もあって、神社の存続する間、若しくは自分の生きている間、金銭を伴う責任にさらさせる可能性ある責任役員の法的責任は無くなったのね。

父:  そうだね。神社が移転したわけではないから令和3年9月2日の解散登記で責任役員も終わった。私達と同じような神社があった場合、同じような幸運に恵まれることは少ないかもしれない。それで考えたよ。

娘:  何を?

父:  皆で責任役員を1年交代することにしたよ。

娘:  それでリスクが軽減するの?

父:  今後は、「後任者が決まるまで辞任できない」という責任役員になる人はないと思うよ。持ち回りで交代すれば、自分が就任していないときも、何時か再び就任することを考えて協力せざるを得ない…かなと思って!

娘: それって本当の意味での解決の仕方ではないよね。でも、個々の責任役員の責任問題とするよりはいいし、また少しでも長く神社を継続できることにはなる気もする。

父:   そうね。今は文化遺産は保存継承しようということが叫ばれている時代、それを「やめよう」とは言い出せないよね。ただ、島内で250位ある神社には1000人位の責任役員がいると思うけれど、自分が責任役員であることさえ知らない人も多いと思うよ。かつて会社の取締役が、事が起きても名前を貸しただけと言って責任を逃れた時代もあったよ。でも今はそうはいかない。これから同じような責任問題が神社でも起きる可能性があると思うよ。

娘:  神社の継続を望む場合は、法的責任の観点からも今の世代も次世代でも困らない方法が必要ということね。

父:  そう、私達の場合のように、責任役員を交代制として辞任-就任を繰り返して、何があっても全員の責任とする…とかね。特に、神社の存続を第三者が提案したりリードする場合があるよ。その場合の第三者の方は、何があっても責任をもたないといけない責任役員、この責任役員のリスクを”我が身の問題”として考えて今も将来も困らない策を考えてほしいね。もちろん、その責任役員の方も、自己責任として納得してあたるかもしれないけれど、何かあれば大きな負債や負担を子ども達とか兄弟姉妹がもつことになる可能性があることを十分認識してほしいと思うよ。

娘: なるほど。

父:  終わりに、前述した「平泉文化財保存会が全世帯に配付した五十周年記念誌」。文化遺産を保存することを保存会の目的としていながら閉社したことに対して、いろいろと異論がでるかと心配していたんだ。それもなかったのは、やはり「良いことではないけれども仕方ない」と思ったんだと思うよ。

(5)起業の前後に考えてほしいこと ~特に生活費、教育費、老後資金など必要利益の観点から~

父:  先日、36年間続けてきた中小企業診断士の更新のための最後の義務研修を終えたよ。

娘:  運転免許みたいに資格を返納するの?

父:  いや、資格は5年単位の更新だから先5年間は、資格だけはあるペーパードライバーみたいになるだけだよ。

娘:  わかった。それで、今振り返ってみると過疎化が進む地域での起業へ改めて伝えたいことがあるのね。

①起業する環境を俯瞰してみよう! ~「既に起きた未来」の地でスタートすることになるために!~

◆人口千人当たり事業所数は一定

父:  次の表のように、この50年間近く人口千人当たりの事業所数は70±3で推移しているよ。

娘:  ということは、将来も割合が一定なら表の下の黄色のセルの1000事業所余りが減少。その中で起業することになるのね。

父:  ただ、事業所減少の大半は、後継者がいない事業所の廃業で何とかなると思うよ。

◆島内を販売先としている事業所が多い

娘:  でも、こんなに長い間にわたり何故一定なのかなあ?

父:  次の図(佐渡連合商工会調査2015年)のように、多くの事業所の販売先が島内のためだと思うよ。島内を市場とするから需要は一定ということだね。

娘:  グラフの「白書」とあるのは中小企業白書の全国平均ね。佐渡は極端に地元販売が多いんだね。

父:  島内を市場とする起業者は注意を要するね。まして、佐渡島は一方の売上が増えると他方が減るという「ゼロサム市場」になっているからね。

娘:  島外市場も目指してほしいということね。確か? 観光市場は島外市場と考えていいよね。

◆バブル崩壊前の売上を超えていない

父: 先の調査で行った「 売上高のピークは何時でしたか?」の質問結果だよ。コロナ禍でもあったから、今も同様な数値だと思うよ。

娘:  そうだね。国も「事業再構築」を目指しているね。改善だけでは伸びることができない状況なんだね。

父:  そこに人口減少による市場の縮小があるからね。

娘:  競争や新陳代謝をねらうだけでなく、ここでも島外市場も目指すことが大切…ということを示しているね。

②必要とする利益目標をハッキリしよう!

◆まずは積算しよう!

父:  起業者それぞれによって、その必要利益の金額は違うと思うよ。

娘:  生活費、教育費、将来への積立金などだね。サラリーマンの給料の中から支払う内容だよね。

父:  そうだね。他に収入があり趣味の起業だからゼロでいい人もいるし、当面生活し将来結婚して子どもを育て大学に出して、そして老後資金も貯めたい人もいる。

娘:   給料だと一カ月後の過不足がハッキリわかるけれど、事業だと売上があり経費の支払いがあり、その取引数や金額が多くなり、幾ら生活費として使えるかわからなくなるよね。

父:  そう。昔のこと「決算書にある利益って、どこにあるんですか」と聞かれたことがあるよ。

娘:  どこに存在するかわからない「利益」で、幾らかわからない生活費などを支出する。これでは良くないから、起業の際そして毎年ハッキリしておこうということね。

◆自己責任の取り方を予め考えよう!

父:  今回の記事のテーマで言えば、必要な生活費などを事業で産み出せないと、子どもの将来への制約や兄弟姉妹などを巻き込んて将来に影響することがある可能性のためだよ。

娘:  自分が困るのは自己責任で仕方ないけれど、子どもの将来、そして他人に金銭的にか返せない迷惑をかけるのはよくないということね。

父:  昔のこと、高齢の経営者が多額の借入れをして、息子さんが全額負う約束をした場面に立ち会ったことがある。そこに小学生位の子ども達がいたよ。私は、子ども達の将来が決まったと思った。そして、「おじいちゃんのことは、おじいちゃんで終わらしてほしいと思ったよ」 その方は見事に挽回、そのような例は少ないと思う。

娘:  自己責任は自己決定したことが前提、自己決定してない人へ自己責任の結果が及ばないようにしよう...ということね。

◆不足資金の借入れ・・それは生活資金の借入れ?

父:  目標利益達成しているか否かは中々わからない➡でも生活費は毎日発生する➡その結果、買掛金がたまる➡買掛金支払の理由で借入する…という流れになることがある。

娘:  わかったわ。仕入価格以上の値段で売っていれば払えないことはないはず。後は、支払いは1カ月後だけれど売上回収は2カ月後というタイミングだけ。それとて、一定の運転資金があれば借入金が度々必要になることはないはず…ということね。

父:  そうだね。そう方程式どおりにはいかないけれどね。次第に借入金が増えていく場合のパターンだね。

娘: 生活費だけでなく、事業借入の返済があり、付き合いの定期積金があり、教育資金の積立があり、老後への積立制度があり、生命保険料の支払いがあり…こうなると次第に全体像がわからなくなっていくのね。

◆常に”お客様づくり”を念頭におこう!

父:  起業の当初は誰もが顧客確保に頑張る➡しばらくすると一定の売上高を確保できるようになる➡次第に、常連客、よく来店してくれる顧客、例えば同年齢や何かを同じくする顧客を対象とした経営となる➡その人達が高齢になったり他の理由で減少➡売上が減少していき、これはいけないと頑張ろうとする➡ふとみると人口減少で人は少なくなっている…この原因は本当に人口減少なの?ということなんだ。

娘: トラッカーも企業目的を「顧客の創造」と言ってるよね。

父:  うん。「顧客満足」は、買ってくれた人を対象にする場合が多いから、その前段階のことを取り上げているんだね。

娘:  何故?

父:  常に離れていく顧客のこともあるけれど、常に新規客を頭におくとウォンツやニーズの変化その他がわかるためだね。お客様の日々の変化がわかり、それに対応した経営を常にできて、何時の間にか事業内容が変化しているが理想だよ。

娘:  なるほど。

父:  その過程でわからないことを専門家に相談する流れだと最もいいね。通常は、売上高が下がってしまった➡どうしてよいかわからない➡専門家に答えを相談するというはパターンが多いからね。

娘:  よくお父さんが言う「売らない日を決めて、チラシをもって販売促進その他でお世話になっている所やお客様へお礼に行こう」も、顧客創造に必要な変化を知ろうとすることでもあるよね。

◆毎日の売上は目に見える形で記録しよう!

父:  毎日、体重を測るだけのダイエットもしているよ。

娘:  それで効果あるの?

父:  それで何キロのダイエットができたとかの数値にはできないね。でも、買物で甘いものを買わないとか1サジ分の砂糖を少なくするとか、知らないうちに行動に繋がっている気がするよ。

娘: なるほど。どんな準備をすればいいの?

父:  簡単だよ。用紙を貼り合わせて365日の日にち欄、曜日欄、昨年売上欄、今年の売上計画欄、実績欄、そして計画値と実績値の差異の累積欄を作るだけだよ。メモ欄もあった方がいいかもしれないね。天候とか、祭りとか、その他売上が変動する要因を書いておくと来年参考になるね。

娘:  それを張り出しておくのね。どう使うの?

父:  3カ月連続して計画よりも下回れば、まずは販売促進策だね。きっと、それまでの日々で「これはマズイ!」ということに気づくし、何かしないといけないということが常に頭に浮かよ。後は、思いつく販促策をモグラ叩きみたいに試行錯誤することだね。

娘:  少し乱暴ね。現役の頃は、そんな支援の仕方をしていたの?

父:  いや、直接訴えたことはなかったと思うけれど気持ち的には、そうだったんだ。売上高が不足したら、顧客ニーズとか自店の強みとか研修する前に、人が多く集まるイベントでパンと飲み物を売り歩いたり、どこかてアルバイトをした方が稼げる方が早いことがあるよ。

娘:  それも乱暴! 言いたいことは、目標達成は粘り強くあたることが必要で、どうしても必要な当面の不足は泥臭いやり方でも達成する執念みたいなのも必要だということでしょ!

◆困ったら早めに相談しよう!

父:  二つの懸念があるよ。

娘:  どんな?

父:  一つは、起業がうまくいって名が知れてくると、経営の困りごとが相談しづらくなるんだね。そのような人ほど、切羽詰まった段階での相談になり手遅れも多いよ。

娘:  なるほど。二つ目は?

父:  占いみたいに答えを即求めるね。でも、先日の中小企業診断士の義務研修で講師から中小企業庁が令和5年6月22日に「経営力再構築 伴走支援ガイドライン」(ここ)を定めたと教わったよ。

娘:  どんなものなの?

父:  講師によると、国は「成長・事業継続のためには…経営者自らが、自社の経営課題を見極め、様々な環境変化に柔軟に対応して自を変革していく『自己変革』を高めることが必要としているらしいよ。

娘:  よくわからないけれど、占い師的な支援ではなくて自らが納得し実現可能な対応策ができるために一緒に伴走する…ということね。

父:  そうだね。決算書などを金融機関に持参したときに問題や課題を指摘されたら金融機関を通して専門家に相談すればいいよ。また、商工会に加入していれば経営指導員に相談すれば専門家派遣も含めて無料で対応してくれるよ。相談すると他の人に知られてしまうと思うらしいけれど、そんなことはないよ。経営指導員は秘密保持義務があるから大丈夫。相談する側は気にすることも、される側は常に行っており平気だよ。

娘:  商工会に加入していない人は?

父:  新潟県よろず支援拠点(ここ)がいいと思うよ。29名もの専門家がいるし何回相談しても無料だし、まずは電話してみることだね。こんなに気軽に相談に応じてくれるところは中々ないよ。

◆常にシミュレーションしてみよう!

父:  現役の頃は「わからないことは行ってみる」がモットーだったよ。予行演習してみると、本番で変化があるとしても”この範囲内だな”と感じられるようになるんだ。

娘:  どうしてシミュレーション中心のやり方になったの?

父:  一番大きいのは、インターネットなどない時代だったこと。1~2カ月に一回の島外出張のときに本屋巡りをして情報を得ることが多かったことかな。

娘:  それでは間に合わないことが多いからね。だからNHKで放映されたいた「やってみなくちゃわからない」という科学番組?のやり方をしてみたんだ。

父:  もう一点が、わからないことは調査するだね。当時の先輩方に常に調査をされられたよ。「またか?」と思い嫌なときもあったけれど、面倒な集計作業を通して誰よりもデータが頭に入った。

娘:  今の時代は、問題があると答えはネット上や専門家で即教えてくれるものね。極端なのは、お客様は佐渡にいるのに消費者調査はせず、情報は島外講師の講演で得るものね。

父:  まあ、そういうことで机上シミュレーション中心の相談対応が私のやり方になった。条件を変えて何度でも繰り返せるしね。例えば、起業や事業者の数値面の計画を練る練る場合、少なくて10回、多ければ何十回の単位でシミュレーションしてみるよ。

娘:  通常は、数値計画を作ると作品を完成したようになり、見直しも億劫で必要な提出先に出すだけのものになることが多いと聞くわ。

父:  ということで、他の「記事」で記載したシミュレーションツール(ここ)を使ってみてほしいと宣伝しておくよ。このツールは、まずは適当に数値をいれて次第に精度の高いものにしてくやり方になっているんだ。

娘:  例えば?

父:  既に起業している人は勿論、これからする人も一定の売上高を達成する数値だけは容易に入力できる。しかし、それを超える売上高となると難しいのではないかと考えたり、本当にできるのかは思うようになるときがあるよ。その時に、競合先と自分を比較し、強みをみつけないといけないという気持ちに自然になるよ。

娘:  なるほど、机上でするのだから何度でもできるし、その過程で起業研修で教えられるようなことにぶつかり、自然に対応を模索することになるって流れね。

父:  目標達成への粘り、泥臭さがほしい。大昔だけれど学生起業家がブーム?になったころ大学へ視察に行ったことがあるよ。女子学生で起業を目論む人から、テレビの「マネーの虎」に出るので見てほしいと言われて見たよ。さんざん言われていたよ。帰り際のインタビューで「起業をやめますか?」と問われ、「それでも私はします」と言っていた。

娘:  本当に大丈夫かなあと思うけれど、強さ頼もしさは感じるね。

父:  起業相談のときに、「佐渡のためになりたい」という人が多いよ。私は「そういわれると心配になってしまいます。あなたの起業が成功することが佐渡のためになるんです」と常に回答したよ。強さ、粘り、お金の匂い…それがないと感じると一番心配になるんだ。

娘:  少し言い過ぎ! ウルサイ、嫌われるよ!

 

2決断や対応の根拠となった指標

~既に起きたと思う未来:人口減少が止まるためのハードルが高すぎる。今困ることは子どもや孫の代は更に困るだろう~

(1)出雲崎町を例に!

◆社会増減がプラスの地域

娘:  冒頭の画像のことね。何年も前から地域からの流出入はプラスだね。スゴイ地域ね。

父:  新潟日報の記事からなんだ。18歳になるまでの間に一人270万円を支援するとか、子育て世帯向けの住宅支援などが飛びぬけているね。

娘:  UIターンがあり社会増減がプラスになり、子育て支援で子ども達を増加させるセオリーどおりだね。

父:  だから記事には、「4年連続の社会増という金字塔を建てた…と胸を張った」とあるよ。

娘:  誇らしいよね。殆どの地域で達成できていないのだから…。

◆それでも続く人口減少

父:  でも、グラフをみると人口減少は続いている。だから「小さな町がいつまで子育て支援にお金を出し続けられるか」という声もあるとの意見もあるね。

娘:  お金の切れ目が云々…。それは困るわね。

(2)佐渡島を例に!

◆封鎖人口でも続く人口減少

娘:  次のグラフはなに? どちらもゼロ近くになっているね。

父:  人口の出入りを無くした状況で推計したんだよ。

娘:  昔の朱鷺し同様に再生力が無くなっているんだね。。

父:  うん、佐渡の2020年国勢調査のデータを基にした。それによると、グラフで示すように通常の将来人口推計でも、鎖国状況にしても早かれ遅かれ消滅となったよ。

娘:   多くの地域の当面の目標は、「社会的移動」をゼロにすることだと思うよ。でも、それをしても消滅を遅らせるだけと判断したのね。

◆空き家のうち3000軒に妻30-34歳、夫35-39歳、女の子0-4歳が一挙に移住しても減少

父:  次のグラフは、出雲崎町のように社会的増減がプラスの例だよ。移住した女性は、更に年齢に応じた出生率で子どもが誕生する。移住者は二度と流出しない。しかし、生まれる子ども達は島内の子ども達と同じに流出する...という仮定を設定してあるよ。

娘:  数値的には、島内にある空き家のうち3000軒に対して、グラフ内の家族構成の世帯9000人が一挙に移住した例だね。

父:  なぜ減少するのか? それは、例えば9000人の地域があり、佐渡島と生残率、出生率、流出入率が似ているとするよ。その二つの地域が合併しても、各々がこれまで同様の減少が続くと考えればわかるよ。

娘:  なるほど。

父:  実際には、いろいろと行政は考えていると思うよ。でも、それはわからないから自分の判断の根拠としては、最も悪くなったことを考え対応したよ。

 

 

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