新潟県が少子化解消に独自支援策! ~出生数を下げないシミュ&視点を変えたアプローチ~

By gkmyhn, 2023年2月11日

出生数が11年連続で過去最少!

娘:  「過去最少」だけでよいのに「11年連続」としているのが深刻さを表現しているね。

父: そうだね。大変なんだね。

娘:  他人事みたいな言い方ね。

父:  いやいや、コラム:中国人口61年ぶりに減少。35年間の「一人っ子政策」後43年目 ~人口の慣性の視点から~(ここ)で対策をしても結果が出るには数十年かかると書いたよね。

娘:  お父さんは、それを皮肉的に計画どおりになった中国の成功体験だと言っているよね。

父:  人口減少対策はマラソンの戦略みたいと思うよ。それを、「マラソンも100m競走の繰り返しだ」みたいにしている気がするんだよ。

娘:  それは、短期に結果がでないと、みんな納得してもらえないからだと思うよ。

父:  確かに数十年後にはこうなります…では賛成してもらえないよね。だから「行う人達は大変だね」とは思うんだよ。

娘:  そう言えば、長い時間かかることは、コラム:出生数が200人を割る! ~それは20年前に決まっていた ?~(ここ)でも書いたものね。

父:  そうだね。だから中国も長期間かかり今になり結果が出ているんだ。

出生数が、これ以下にならないシミュレーション ~既に計算されていた~

父:  出生数改善のためこの計算をするため、前に新潟県の人口再生シミュレーション・ツールをアップ(ここ)してあるから、それを動かそうと思ったんだ。

娘: それで?

父: みると、 既に計算されていたよ。ほらっ、持続可能な地域社会総合研究所が、「毎年人口の0.4 %、つまり 250人に 1人定住者を増やせば実現できる。 20代前半のカップル、 30代の子連れ夫婦、過去に流出して定年を迎えた 60代夫婦、20代後半の女性をバランスよく定住させると仮定」と言った新聞記事があったよね。

娘:  それで、ツールの「増減シート」に数値を入力して計算してあったんだね。確か、当時は人口の0.4%は9,000人位とした気がする。

父:  そう、自分なりにバランスを考えて年代別の移住者を考慮して入力したのが次の二つの図表だよ。

娘:  入力数の合計が多いのは、5年間分を各欄に入力したからなんだね。

父:  その結果の出生数が次表なんだ。左側が今のままの推移、これだと2050年には出生数は半減するね。

娘:  右の表は、確かに出生数が下がっていないね。9,000人移住があれぱ、年代は前述の表のような例でも今の出生数のまま推移するってことだね。

父:  そういうことだね。地域社会総合研究所の提案どおり進めれば、”〇年連続で過去最少”からは抜けられる訳だ。

いろいろな例をやってみよう! ~きっと新しい気づきがある~

娘:  後は、8,000人にしたらどうなるかとか、移住年齢を変えたらどうなるかとかをやってみることよね。

父:  ぜひ、そうしてみてほしいね。いろいろな例を自分で入力して計算すると、人口に関する情報の見方などで注意すべき点や新しい気づきがあると思うよ。

娘:  例えば?

父:  そうだねえ。多くの地域で目指しているのは、当面「ヒトの流出入の差を無くそう」ということが目標となっている気がするよ。

娘:  それは 正しいことだと思うよ!

父:  うん、そうだね。でも、それで人口減少が何とかなると思ってしまうと、それは違うんだ。

娘:  えっ、どうして?

父:  次のグラフは、新潟県の人口再生力を”診た”ものだよ。「人口減少」は「売上減少」と似ているなと思ている。会社の場合は情報を集め経営診断するところから始まるよ。人口推計をする場合も同じ。公開しているツールでは、一番最初に該当地域の人口の再生力を自動的計算できるようにしてあるんだ。

娘:  あれっ? グラフをみると全若者が定着しても減少、流出入がない封鎖人口でも減少、そして今は1.3位の合計特殊出生率を2.08にしても減少するね。

父: そうだね。

娘:  ということは、新潟県の場合は、流出入差を無くそうという目標は、人口減少対策の中の一里塚なんだね。

父:  例えば、会社の財務診断では、最終的には総資産でどれだけの利益を上げたということかもしれないよ。どんなやり方でもよくはなく、効率的に行うことをみる回転率や収益性をみる利益率、その結果としての安定した財務バランスになるか等に分け、何十もの分析が展開できるようになっているよ。

娘:  全体がつながっているから、どこかの数値を変えると全体の結果も変化するのね。そうか、流出入差を無くするというのは、その中のどこかを”診る”ための目標数値と言いたいんだね。

父:  そういうことだよ。そして、それを達成すると全体がどうなるのか、それが示されていない気がすることが多いよ。

娘:  「今よりも改善したでしょ」というだけでは駄目だということ?

父:  ダメということではないよ。勿論、少しでも改善することはよいことだと思う。誤解を招くよということかな!

 

ちょっと違った視点からのアプローチをしよう!

父:  ほらっ、先の持続可能な地域社会総合研究所の新潟日報の記事(ここ)では2050年を目安に例を書いてあったよ。

娘:  そうだね。30年後だね。お父さんは既に亡くなっているかな?

父:  私だけでなくて、殆どが亡くなる70歳以上の人口を抜いて計算してみたよ。次が、その抜いた場合の人口ピラミッドだよ。

娘:  確かに、今の70歳以上の547,598人は殆ど亡くなっているよ。そうすると、今の時点の人口でいえば、30年後は県人口は1,653,675人なることは確実だよね。

父:  そうだね。3万人弱いる年齢不詳者を私は加えていないから人数は多少違うけどね。

娘:  なぜ、このようにして計算するかは、人口減少数の多くは高齢者が亡くなることによるもの。だから、高齢者を入れての計算だと努力の結果が見えにくい...ということだよね。

父:  うん。先ほどの売上減少でいうと、新製品が爆発的に売れて売上を伸ばしても、全体的には既存製品の減少が激しいから埋もれてしまう。これでは挑戦する人達の意識高揚とはならないものね。

娘:  確かに、新製品の伸びの頑張りを褒め、さらに意識が高まることが次の段階につながるよね。

父:  上の人口ピラミッドを30年後、どのように変えるかをテーマにすべきと思うよ。そして、私の気持ちからすれば、それは人口増ではなくてバランスだと思う。

娘:   会社で言えば、売上が前より下がっても利益やバランスある財務体質(人口ピラミッド)になること…かな?

父:  そう思う。上の70歳までの人口ピラミッドを基にして人口再生シミュレーションしたのが次の二つの人口ピラミッドだよ。

娘:  右側が、今のまま推移した場合で、左側が9,000の移住が新たにあった例ね。  かなり改善されるね。でも、子ども層は改善後をみても人口ピラミッドとしては不安定。

父: 12,000名余りの出生数を、9,000人の移住では足りず更に増やそうとするのか。人口は減少は続いても、安定に向けて余りに低い合計特殊出生率をアップするのか…だよね。

娘:  それを将来ではなくて、シミュレーションしてみた今の時点で検討してこう...ということね。

父:  そして、その全体像を周知することで対策への協力や支援が得られるのではないかな...ということなんだ。

子育て中の知人をみて思う

娘:  若い夫婦が、奥さんが出産の前後に病気など重なり大変だった人を知っているよ。共働きだし、まだ育児には素人?でしょ! だから、家事、育児、そして旦那さんの仕事、どれも無茶しないとできない…こんな状況の時期があったみたい。確か、0歳児をみてくれる人を探したけれど中々いない...とも話していたよ。

父:  そうなると大変だよね。何かあると”一発逆転”で全てが駄目になる。経営では、何か起きると全てが駄目になるは絶対いけないよ。それは仕組みづくりの段階で避けるのが基本….

娘:  経営に例えるのはどうかと思うけれど、そのとおりだわ。もう一人の共稼ぎの夫婦は、たまたま長い出張が同時に入ってしまったらしいよ。子どもを誰がみてくれるのか困ったらしいね。

父:  昔は、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に住んでいたから子育てを担ってくれたよ。夫婦も一人が仕事に出て一人は家事をして、病気や失業になっても家の中の支援があったから、外部の支援制度を使えば何とかなったよね。

娘:  そうだね。今は住む場所も多くは夫婦単位だものね。

父:  昔の家族体制がなくなり、それを制度だけで何とかしようとすると制度が追いつかないよね。

娘:  でも、知り合いの直面した問題や課題は、出生数を増やそうとする場合の根本的なことだと思うわ。

父:  そうだと思うね。今も支援制度はいっぱいあるよね。それを全部使うと、出産して子育てすることに安心し、子どもの将来についても何とかできると思うだろうか?….だね。

娘:  日常生活での育児支援と共に、 お父さんの言う「一発逆転でダメになる」の不安を解消することは大事だね。

父:  それがないと安心できる支援策であってほしいね。

 

 

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