お金の流れからみる”起業シミュレーション”テンプレート ~さらに夢を広げ、数値で一層確実にし、お金の流れを学習し、そのまま各種添付資料に!~

By gkmyhn, 2022年5月28日

更新r4.6.6:帳簿の印刷説明に間違いがあり正しい説明のものを「帳簿ver2」としてアップしました。訂正内容は、「カンマ区切りで科目№を記載し、最後に9999と記載しOKをクリック」でしたが、「科目№を記載したらOKをクリック、これを印刷科目数行い、最後に9999と記載しOKをクリック」すると印刷が始まります。
更新r4.6.6:「帳簿」ツールをアップしました。特徴は、起業者が一度は行うであろうエクセルによる帳面に「元帳」ができる機能を加え、ボタン一つで決算書ができるものです。
更新r4.5.29:「売上の積算」シートで、総利益率、経費額、売上高の一部又は全部がわからない場合、想定する数値の入手を容易にしました。これに伴い当記事と説明の数値とテンプレートの数値が異なります。説明をみるには従前のテンプレートの方がよいと思います。

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1提供する2点

(1)「起業シミュレーション」テンプレート

名称:お金の流れから行う”起業シミュレーション”テンプレート(ここ)

※この「記事」の説明に沿って作成した当初のものです。説明と合わせて読むにはよいと思います。

バージョンをver10へアップしました。こちらを使用ください。(ここ)

※マクロは含まれていない”xlsx”形式のエクセルファイルです。容量は260kbほどのファイルです。なお、ダウンロードしファイルを開こうとした場合、「ネットからの入手はウィルス感染がある可能性があります」と表示されます。事前に感染がないことを確認していますので、「編集を有効にする」をクリックしていただいて大丈夫です。

目には見えないけれど、お金の流れる大河があって、起業は、その畔にいって汲み上げては流しながら、その過程で夢を果たそうとしているわけです。この「起業シミュレーション」は、お金の流れの過程を最初から最後までつなげ、その要所で作られる書類を通して理解してもらおうというものです。

起業者にとって、名称などに馴染みがないものがありますが、少し手間暇かけて作成するものは「全容図」の①~③の「売上の積算」「経費の積算」と物品などの「調達品」だけです。他の書類は、殆どが自動作成です。

後は机上の予行演習が中心となり、「⑥シミュレーション」シートで、うまくいったら来年は取り分を増やそうとか、3年後に新部門を立ち上げようとか、設備投資しようとか、それにともなって経費がこれだけかかる等を記載します。また、リスク面から、全体の売上高が1割、2割、そして3割達成できない場合はどうなるか、どうするかなどをシミュレーションすることになります。

「ゲームを行うようにできるもの」を目標としましたが、私には中々難しいようです。自分で使っていたときはシンプルと思ったのですが、他の人に使ってもらおうとすると、説明を読むのが億劫になるのではないかと思うようになってしまいました。そこで、使い方についてわからない場合は気軽にメール(ここ)で問い合わせいただくことにしました。なお、起業そのものの相談については、お近くの「商工会」なり「よろず支援拠点」なりを紹介させていただきます。

(2)「帳簿」ツール

「手書き」で行い、そろそろ会計ソフトを買おうか迷っている方に求められ、その”つなぎ”用のツールとして現役時代に制作したものです。「現金出納帳」「預金出納帳」「仕訳帳」を記帳すると、「試算表」「決算書」ができるもので、月々の計と月々までの累計ができる「元帳」機能があることが特長です。この「起業シミュレーション」テンプレートを使って、お金の流れを知り、そして起業が数値に裏づけられた実現性の高いものになった方が、さらに当ツールで記帳から決算まで自計できることを目標とするものです。現役時代から通算すれば100名を超える創業のお手伝いをしてきましたが、そこまで創業前にできる人には会ったことがありません。できる人が出るかもしれない思うだけでワクワクするほどのことです。

なお、記帳方法は、エクセルの各シートに記載してあります。また、入力事例は、上で紹介した「起業シミュレーション」テンプレートにある数値は、この帳簿から作成した形としていみました。(事後に合わせることになったため合致していない部分もあります)

名称:「帳簿ver2」ツール(ここ)

  • エクセル2019、拡張子xlsm、大きさ226kb、ZIP形式。マクロを使用しています。
  • ウィルスチェックはしていますのでマクロを有効にしてください。
  • ダウンロードしたらzipファイルをクリックしてツールを開き、「マクロが無効にされました」には「コンテンツの有効化」をクリックしてください。
  • 元帳機能の例示:消耗品費を示す科目№「110」と入力して「元帳作成」ボタンをクリックください。まだ、元帳を作成するほどのデータが入っていないためです。

使い方についてわからない場合は気軽にメール(ここ)で問い合わせください。なお、会計そのものの相談については、お近くの「商工会」なり「よろず支援拠点」なりを紹介させていただきます。

2全体構成

次のような8つのエクセルシートをつないだ構成になっています。各シートの説明はダウンロードしたら「はじめに」シートを開きご覧ください。

各シート等の名称は、起業すれば常に聞く語句となることから、少し難しいかもしれませんが、そのまま使用しています。

各シートでは、仮の数値を入力してありますから、随時、加除修正すれば完成いたします。

このテンプレートは、よろず支援のコーディネーター時代には、創業相談の際に本人からヒアリングしたことを基に作成して、数値面で無理がないだろうか、創業後も継続できるだろうかを確認する資料でもありました。そして、補助金交付機関や金融機関等への事前の説明資料としても使っていましたが、多くはそのまま添付資料となりました。書類づくりは、起業者には負担がかかることでしょう。机上の予行演習ともいえるシミュレーションの過程そのものが、そのまま添付資料となれば一番よいことと思います。

「数字は、どのようにでも作れる」と言われることもあります。起業者の努力の結果が、このように見られたら残念でしょう。このテンプレートで何度もシミュレーションをして、「これが一番実現性が高く、これが最もうまくいく場合、これが悪い場合ですが、そのときには対応をこうします」と、創業計画書が出来上がる検討過程がわかることが、添付資料としてもよいという信用につながったものと思います。

 

3説明を読んで”習うより”、まず動かして”慣れよう”

(1)逆算方式だとテンプレートの使い方が簡単にわかる。

上のアイキャッチ画像は、小規模基本法制定の当時、中小企業基盤整備機構が制作した「小規模事業者支援ハンドブック」の「とりあえず計画を立ててもらう」という項目にあるものです。

そこには、「目的を先に決めて、それを達成することを考えてもらうのも一つの方法です」「理屈抜きで、5年後の年収を1000万円に目標設定して、それを実現するために、まず売上計画を立てましょうという提案の方が後継者には、よほど魅力的だと思います」という企業の後継者向けの文章があります。私の好きなページだったんですが、刷新版ではないようです。実際の現場で行うとすると「何か不都合があったのか」と気になりますが、「机上のシミュレーション」の題材にすることは問題はないでしょう。

近年では、「お金を稼ぎ出したい訳ではないですよ」という起業の方が目立ちます。ここでは、少し極端な数値を入力しますが、それで気づくこともありますので、ぜひ行ってほしいのです。テンプレートの使い方だけではなくて、起業者で一番気になってはいるんですが、このテンプレートの説明では触れていない一番大事な部分をお伝えできると思います。

①「評価・判断」シートを開いて確認ください。

シミュレーションのスタートページであり、その成果が表示される最後のページでもあります。入力できるのは黄色のセルだけです。既に、35歳で200万円用意し、設備資産などに1100万円ほどかけた例を記載してあります。不足金900万円強は自動的に借入金となるようにセットしてあります。シミュレーション結果となる下の表では、10年後には借入金は残りますが、現預金1500万円余りに増える状況となりました。

10年後までの過程を示したのが次のグラフです。シミュレーション途上と結果の良し悪しの判断するのは、このグラフだけです。相談の際、起業者は、すぐに他のシートにある数字の羅列に目が行くようです。私は、いつも開口一番、「数字は見ないでグラフだけでいいですよ」と言うのが習慣でした。このグラフが、細かな改善点は後にして、まずは起業者が考えていることを数値に置き換えた結果です。黒で表示したグラフの借入金が下がり、赤色の純資産が上がり、10年間のグラフ内で交わるがこと目標でした。この例でも、そのようにグラフはなりました。(テンプレートの特徴として、途上の資金不足は自動的に金利を払い借入金で調達するようになっています。)

②「希望する年収」欄に10,000千円を入力してみてください。

次のように入力しました。10年後の45歳には、借入金が1億円弱までになりました。(このテンプレートは、法人企業用に作成したものを工夫して個人企業用にも活用するものでした。その痕跡が今も残しながらも、今度は個人企業用を中心に使っています。「希望する年収」も処理は、個人企業)の「事業主貸」とします。)

その結果、下のグラフのようになり、「ワニの口」が開いた状況で対応が必要となります。

③まず、「キャッシュフロー計算書」で不足する資金の状況をみます。

実は、この計算書は通常の使い方とは異なり、「資金運用表」の資金の調達(源泉)と運用(使途)の視点から使っています。キャッシュフロー計算書が起業者に必要かと思いながらも、一方で経営で作成しているものは知った方がよいという気持ちもあります。このことから、使い方について疑義があるかもしれないと思いながらも少し変え、資金運用表の調達と運用の妥当性という視点からの使用としました。

前記②のグラフ改善への対応として売上アップが必要ですが、まずは幾ら必要かを知る情報として右のをみてください。表の見方は、プラスの黒い数値が調達先(資金の源泉)であり、マイナス数値が運用先となる資金使途です。償却資産が大きな使途ですが、これは当初から借入金を調達先にしています。やはり、「希望する年収」である「事業主へ」は、「新規借入金」1000万円余りが資金調達の源泉となっているのが読み取れます。借入金を常態として経営外への支出を行うのよくないですから、これを解消できる金額が、利益アップで目標とする数値となります。

④「売上の積算」シートで売上アップの積算をします。

当初の積算は次の表の上の内容になっています。「売上積算書」は「客単価」×「客数」で記載してもらうようになっています。

まず、客数をドンドンあげて、随時「評価・判断」シート内でグラフが交わるかを確認していく作業です。どこで「よし」とするかは、キャッシュフロー計算書で資金不足がなくなり、少しで月末現金がプラスになる時点です。客数だけでは間に合わないで客単価をアップしてみました。

その結果、下の表のような入力をしたときに、左のキャッシュフローのように、新規借入金はなくなり少しだけ期末に現金が残るようになりました。一日30人は、15分に一人の来客が続く計算です。

(2)課題;さらに少し作業を進め、次の課題を考えてみて下さい。

①売上高アップに伴う雇用の必要性と経費の増加

さて、「希望する年収」を確保するために売上増をはかってきました。「売上積算書」では、当初11,220千円の売上高を46,200千円まで伸ばしました。とても一人で行える仕事量ではありません。また、固定的経費といえども、これだけの売上規模の違いがあればアップするでしょう。そこで、雇用と経費アップについて少しだけ作業を行ってみてください。

目安となるのは右の表で、「売上の積算」シートの下方にあります。これは、ハンドブックで紹介した「中小企業基盤整備機構」のサイトで紹介する「起業マニュアル」の「損益計画の書き方」で資料としての活用に言及しているものです。資料出所は、創業当初の融資として使うことの多い「日本政策金融公庫の小企業の経営指標調査」です。融資を申込む予定の方はもちろん、起業後も、自分の経営が同業他社と比較して、どう違うのかなどをみる資料とするのもよいと思います。

表の「指標値」とあるところ、資料から転記している部分です。起業が全く白紙の状況の場合に使うとよいでしょう。「諸経費対売上高比率」が、売上に対する経費割合ですから売上高に乗ずればよく、売上高を「従業員一人当たり売上高」で除して、起業者一人分を差し引けば必要な従業員数が出るでしょう。従業員の人件費も出ていますので給料積算もできます。必要な場合は、「売上の積算」シートに入手方法を説明してあります。

ただ、このやり方は、諸経費と人件費がアップすれば、さらに売上高アップが必要になるので終わりません。ここでは、計算したものを右の「経費の積算」シートへ転記し、「評価・判断」シートのグラフがどうなるか見て終了としたいと思います。

②課題

冒頭で、「目には見えないけれど、お金の流れる大河があって、起業は、その畔にいって汲み上げては流しながら、その過程で夢を果たそうとしているわけです。」と書きました。場所選びとか汲み上げる仕組みづくりを含め最も大事なところなのですが、「売上の積算」シートで「必ず支援機関に相談してください」とだけ触れているだけです。

当初11,220千円だった売上高、簡単に46,200千円とアップしました。第三者がみれば、どれだけの量が流れている大河なの? どう調べたの?大丈夫?と聞くでしょう。客単価は、2500円から5500円までアップしました。客単価は、「メニュー単価×購入点数」ですから、何をどうアップしたの? そんなニーズがあるの? どうしてわかったの?と聞くでしょう。さらに、来店数が毎日13人から30人へアップしたのを見て、毎日それだけの人が来るとなると、合計では地域の人口以上の人が来るようになるよ。みんな新しい客なの? リピートはどれ位なの?。簡単に売上をアップしているけれど、会社は、あなた一つだけじゃないんだよ? と言われるかもしれません。ベテランの経営者であれば、「勘です」で納得してもらえる場面もあるかもしれませんが、起業者では難しいでしょう。これらについても、数値で言えるように調べることを習慣化してみてください。

最も大事な「売上の積算」シートを事例のように一行で済ませると、起業者の多くは…自分のやりたいことだけ言っている、腕の良さやモノの良さだけでは年の単位で売れ続けるのは難しい、数字はどのようにでも作れる...と見られる悪循環に入ってしまいます。広い同シートを使って、前述の第三者の見方を例にして、多様な視点から顧客となる人のことを考え入力しては消すという試行錯誤をしてみてください。その過程で、必ず支援機関や専門家の指導をもらうとよいでしょう。考え抜いた後であれば、どのような助言も、起業を一層確実にし、拡充できる契機となると思います。

4 要点説明

詳しい説明は、各シート、や「セル」に「コメント」として記載しました。ここでは、特に説明しておきたい事項について、再掲することも含めて説明します。

(1)「準備」と「実行」

当テンプレートでは、お金の視点での基本計画づくりを(見積)損益計算書としています。その準備作業には二つの段階があります。

①第一段階

準備作業として、「売上の積算」「経費の積算」「調達品」シートを記入するものです。

もう既に起業の準備をしている方の場合は、これらをすぐに記載できるでしょう。しかし、そうではない方は、どうすればよいか迷うと考えました。そこで、「中小機構」が行っている「日本政策金融公庫のHPにある小起業の経営調査」の指標を活用するやり方を採用しました。右の表の黄色のセルに業種ごとの調べた指標を記載し、売上高、総利益率、経費の目安を知り、それを使用する方法です。これでシミュレーションをしながら、後は少しずつ自分用に修正したり精度を増してもらうことにしました。

②第二段階

第二段階は、損益計算書上で次のようなことを想定した数値を下の表の記載例のように入力してみることです。これらの結果、全体がどうなるのか、特に10年後の財産状況としての貸借対照表がどうなるのかをみてほしいと思います。

    • リスクを考えて、売上目標が1割、2割、そして3割減となったらどうなるかやってみよう
    • 年〇%の人口減を売上減少に反映させてみよう
    • 3年目に軌道にのることを考え、1年目、2年目の売上高を少なくしておこう。
    • 4年目には新製品開発をして売り上げを上げよう。そのための設備投資を計画しよう
    • パートを採用しよう、4年目には更に一人増やそう
    • 自分の取り分を〇円増やそう。従業員の給料アップも考えよう
    • 年〇%のコストアップがあったらどうなるか行ってみよう

 

(2)シミュレーションの良し悪しの評価・判断の基準について

「評価・判断」シートに既にデータをセットした結果グラフがあります。赤は純資産の増加、黒の点線は借入金の減少を示し10年間のシミュレーションの途上で交差しています。グラフがこのようになることを目標とします。同シートの左上にある「希望する年収」欄に金額を入れてみてください。もしも、ワニの口が開いた状況になったらもちろん、グラフ内で交差しそうにない場合は、そのシミュレーション、その起業内容を見直してみてください。「シミュレーション」シートに戻り、売上アップするとか、経費削減するとか、希望する年収を下げるなどが必要でしょう。それが契機となり一層シミュレーションする回数が増え、データの精度が高まり、このテンプレートを通してお金の流れを理解することになると思っています。

(3)キャッシュフロー計算書の役割について

起業者には似つかわないかもしれないと思いながら、財務三表の一つ「キャッシュフロー計算書」を作成してあります。私は、「そうしてよいのか」と思いながらも、作成方法は同じですが本来のキャッシュフロー計算書とニュアンスを異にし、資金の調達と運用の仕方を知ってもらうための役割として作成しました。

どんな項目が経営の資金を増やす(+)源泉となり、どんな項目が経営の資金を減らす(-)使途となったのかという「資金の調達と運用」を起業者に明らかにする役割です。

 

実際の経営でも、例えば設備投資の支払いを、頑張ってやりくりしようと、当面あるお金で払う場合があります。でも、当面あるお金は支払の大半を占める買掛金や諸経費の支払資金です。2-3年経つと滞り始めた買掛金や未払金をの支払いのための融資相談に来ることが、経営指導員を現役としていた昔は多かったです。このキャッシュフロー計算書(現役時代は資金運用表作成)

を複数年間比較すると、後に不足する買掛金支払いのための借入資金は、本来は設備資金への融資であることがわかります。設備資金ならば長期低利で借りられたのに、そこまで頑張る必要はなかったのに...となる訳です。頑張る経営者ほど、このようなことが目立ちました。そこで、問題のキッカケとなることの多い設備投資(経営外へ支出される教育資金など)については、各々の目的をもった長期の借入金とかユトリある預金を源泉としてほしいとしてきました。これを、わさわざ言わなくともわかるようにしておきたいと考えた結果です。

再度の説明となりますが、上の表でも赤のマイナス数値が資金使途(運用)で、プラスの黒の数値が資金の源泉(調達)です。使途で大きな減価償却資産については、その源泉は設備資金の借入れを計画し返済計画もしているものです。前述の「ワニの口」を開かせようと入力した事業主への報酬5000千円(使途)、これは経営外支出であり回収できるものではありません。調達と支払いの時期はズレていても、表をみると金額などから実質的には新規借入金を調達(源泉)し事業主へ支払った…となるでしょう。

(4)資金繰りの流れの把握について

起業して思いのほか手間暇とストレスがかかることに「お金のやりくり」があります。”売上をあげる”ことと”お金のやりくり”をするは、車の両輪の関係があることに気づきます。今まで行った経験がない資金繰り表の作成などが急に求められ、パニックになる場合もあるでしょう。このシートは、「シミュレーション」シートで計画として作成した(見積)損益計算書を、お金の面から先々を考え、動かしチェックする司令塔の役目と位置づけています。同じ売上高なのに、季節指数、現金と掛割合、回収と支払サイトの違いでお金の流れ、金額の変化、現金の過不足、借入金の金額が変わる様子を具体的な数値で知っていただくのが「資金繰り表」シートです。次の作業を通してお金の流れの変化の様子を把握ください。

①季節指数を変えてみてください。

下の表の上部に「100」の数値が並んでいる部分があり、その合計は「1200」となっています。各月の販売予定は「年間の売上高÷1200×100」で計算されています。しかし、売上高は月により季節により、また催し等により異なります。ここでは、変化の様子を把握してほしいだけですので、ある月を「0」として、ある月を「200」とすることもよいでしょう。ただ、合計が「1200」となるように、ある月を増加させれば他の月で減少させてください。その変化により全体の数値の変わる様子、特に最も下欄の「翌月現金へ」の増減の様子を確認し、同じ売上でも資金の流れと過不足が異なることを把握ください。(変更できるのは黄色のセルだけです)

なお、実際の季節指数は同じ業種であれば似ていることもあるでしょう。調べたり聞いたりしながら精度をアップした季節指数にしてみてください。

②売掛金の回収と買掛金の支払い等を変えてみて下さい。

次に、売掛金回収の場合の現金比率を想定して記載ください。今は「0.7」(現金売上7割、掛売上3割)となっています。さらに、「掛売上」となった部分は何か月後に回収できるかの数値も変えてみてください。同様に、買掛金欄についても実施ください。特に、現金回収や支払いの割合の違い、掛部分の回収や支払いの期間の違い、その組み合わせの違いで「翌月現金へ」欄の過不足がどれだけ異なるかの感じを知ってください。

まだ、正しいものを入力するということではなく、変えてみてお金の変わる様子(お金の流れ)を把握することを優先にします。それには、極端な数値とすると差がよくわかるでしょう。

③運転資金欄に金額を入れてみてください。

「シミュレーション」シートでは、資金不足は自動的に金利を払って借りる設定となっています。資金繰り表の「新規借入金」欄に金額がある場合は、その資金不足の金額です。その場合は、運転資金の借入れを行うこともあります。まずは練習として次のことをしてみてください。

「運転資金」欄の黄色のセルに「資金不足額」があれば資金不足がなくなる金額、「0」となっていてた場合は全体の数値のどこか変化するかを見るために例えば「3000千円」を入力してみてください。運転資金欄に金額を記入すると、「シミュレーション」シート全体が変更され、「新規借入金」欄の金額自体が変わります。いつもお金のやりくりに負われることのないよう、この欄の数値が無くなる程度の運転資金は当初から借り入れしておくことがよいでしょう。

なお、運転資金は、平均売上の2-3カ月程度以内にしてください。 それ以上の金額を入れないと解消しない場合は、経営外へ資金を出すとか、何かの無茶している理由があると思います。「シミュレーション」シートの「キャッシュフロー計算書」をみるとわかります。 なお、金利、返済回数は、入力してある数値でよいでしょう。

 

facebookでの案内の再掲————————————

〇起業の夢を更に確実にしてほしいための経営シミュレーション・ツールの提供を予定しています。

・誰しも、長く働いていると自分用の便利な道具(ツール)を作ります。これもその一つであり、また私の”終活”の一環でもあります。

・私は、5年間弱、にいがた産業創造機構が国から受託して行っている「よろず支援拠点」の佐渡コーディネーターでした。その期間に扱った創業相談は60件半ば、創業したのが40半ばだったと思います。

・このとき使っていたツールについて、できるだけゲームのようにできる感覚に変えて提供したいと思っています。

・提供する目的は二つです。最も大きいものは、起業への夢を数値に裏づけられたものにしてほしいことです。起業のため支援機関や金融機関に相談したとたん、起業へ向けての内容の是非など現実的な話になります。

・経営では計画は必ず数値に置き換える場面があります。夢を見ながらの計画を、今度は机上で予行演習するように、数値に置き換えて何度もシミュレーションしてみてほしいと思います。

・二つ目は、会計などお金が流れる仕組みに弱いと思うためです。このツールは、物品の調達、経費の積算、売上の積算、資金計画を記載すると、若干の補足の記載は必要ですが10年間分の減価償却計算、毎月の返済案内書、キャッシュフローと資金繰り表、そして損益計算書と貸借対照表が自動的にできるものです。

・後は、3年後に新規部門を立ち上げるとか、従業員を入れるとか、設備投資するとか、経費がアップするとか、何よりも自分の取り分を倍増させるなどを入力することになります。そして、売上が1割、2割、できれば3割達成できなかったら、どんな状態になるか対応はこうしよう...など、ここでは気楽にゲームみたいに考えてほしいと思います。

・記載する内容は家計簿と同じ程度であり、専門的なものは自動計算となっています。どこかを変えると、シミュレーション全体が変わりますので、何度も変えることでお金がどのように流れているのかがわかり仕組みもわかってきます。これを作った私自身、頭の中で思ったより変化が少ない部分、「なぜだ!」と思うほど変化してしまう部分について驚く場合があります。

・起業した人は、開業届を税務署へ提出すると、大きな封筒で分厚い書類が届くのでビックリしてしまいます。少なくとも、内容をみても驚きはなくなるでしょう。

・また、この先10年間分のシミュレーション・ツールは少し工夫をしてあり、資金不足は利息を払っての借入金となるように設定してあります。ですから判断は一つだけで、グラフをみて借入金が下がり純資産が上がることだけです。目標は少なくとも10年以内に交わることです。

・できれば、最初はサラリーマン時代の給料を大幅アップする感覚で、自分の取り分として1000万円位を書いて、必要な物品も明細は書かずに合計を100万単位で書いて、ターゲット別などの売上積算や必要な販促方法など考えず夢として想定する売上合計だけ書いて、粗利率も70、50、30%あたりで適当に選び、経費も明細でなくて雑費欄に100万円単位で書いて、自己資金は少なくさせ、他人の資金を利用して儲けたいとして殆どを借入金と書いて入力してほしいです。身近に感じてもらうため起業初年の年齢を記入するようにしてあります。きっと、今から10年後の年齢で負う負債の多さにビックリすると思います。

・創業後に、本当にそうなることはこまりますが、机上なら違います。何度も失敗して、これならば夢がもてる創業になるだろうという点を探してください。こどもの頃、宇宙へ行きたい、野球選手になりたい、サッカー選手になりたいという夢、それが中学生になり高校生になると現実も考慮に入れて目線が下がってきます。この長い過程、特に子どもの頃の夢と、それを数値で考えていく過程が起業前に必要と思います。

・経営では挑戦はよいのですが投機は駄目です。その判断は何か? 私の場合は、万一のことがあっても苦労しながらも元に戻れることと話してきました。戻れる程度は人に応じて違うでしょう。

・そこから始まり、その都度聞いたり調べたりしながら少しずつ精度を増してもらえばよいのです。そして、少なくとも先ほどのグラフが交わるか交わりそうな気配があるところで相談に行くことでしょう。そうすれば、改善点の指導も一層具体的になり聞いた内容も一層理解できるでしょう。

・この利点はもう二つ。通常は創業計画を書くと、一つの作品が完成したような気になります。そして修正は面倒と思ってしまいます。助言されると内容よりも修正の億劫さが先になることもあります。このツールなら幾ら修正があっても繰り返しシミュレーションすることですから容易です。作品?を実現性の高いものにバージョンアップすることに専念できるでしょう。そして、そのまま借入金申込みや補助金申請の資料ともなります。何よりも、これらの過程で起業することへの自信がつくでしょう。

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