コラム:国勢調査からみた5年間の変化と投影した将来の佐渡。(説明編)

By gkmyhn, 2022年1月1日

娘: 令和2年の国勢調査結果が出たの? 

父: うん。一部発表されていないデータもあるけれど、将来推計するには問題ないから計算してみたよ。

娘: どうだったの?

父: 5年前のデータで将来を推計したのと、今回データで推計したのを比較すると45年間消滅が早まったよ。

娘: 推計の間違いというよりも、各々の時期の状況を表すデータで将来推計して差を見ることは、佐渡島の状況が変わった…と言いたいんだね。

父: いいこともあるよ。初めて人口推計をしたのが30年前、その当時の実態を表すデータによる令和2年の予測値が45,216人で誤差12.2%、5年前の平成27年予測値が50,795人だから、5年間分だけ減少を延ばしたともいえるよ。これが30年間の成果ともいえる。

娘: 旧市町村の推計もしてあるね。

父: これまでも随時推計していたけれど、一斉にする機会があったので行ってみたんだ。ただ、少し懸念もあるよ。

娘: どこが?

父: なぜ、この年齢層がこんな移動率(流出入率)となるんだろう…というところが目立つんだよ。

娘: 何かに使う場合は、修正が必要なときもあるってことね。

父: その5年だけ異常とも思える移住があったとか、住宅団地ができたとかね。それを除く作業が必要なんだ。

娘: 社人研や創成会議と比べるとお父さんのは推計誤差が僅かだね。

父: 少ないというよりも、社人研、創成会議の移動率は、「国勢調査で診る5年間の変化と新たなデータで投影した将来」で記載したように他の要素を加味しているだよ。

娘: なるほどね。20年以上にわたって5年先の予測では誤差1%未満だね。

父: 佐渡島は長年の人口減少で消滅へのレールに乗ったようになっているんだ。内閣府の「選択する未来」委員会では、次のように言っている。

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「ある地域を選び、就労し、結婚して家庭を築き子どもを産み育てることは個々人の意思に基づき、個々人の基本的な権利にかかわるものであり、「人口」を施策として取り上げるに際しては、その点を常に念頭においた姿勢が求められる。 人口が減り続ける社会は、いずれ消失することになり、どのような未来も描くことはできない。

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娘 なるほど。佐渡島の出生率も低いね。令和元年で1.49だよビックリする。

父: そうなんだ。2020年の0-4歳子どもに対する再出産年齢女性の比率から計算すると、1.44になったよ。これを基に将来推計をしたよ。

娘: ということは改善すれば、お父さんの推計した人口の流れは変わるということだよね。

父: そのとおり。でも人口の再生産ができる2.08にしても減少は止まらないからね。問題は、子どもから大人世代へ入れ替わりの都度、女性数は半減するほどの減少しているんだ。

娘: 生まれた子どもが20年間して大人世代になるときのことだね。半分ということは次の20年後では四分の一、次は八分の一の女性となるということになる。そういうこと?

父: そう、これでは出生率がどれだけ改善しても間に合わないと思うよ。

娘: 最近は移住が多いって聞くし、空き家の活用も多いって聞くし、令和3年は明るいのでは?

父: 確か流出入差は少なくなっていると聞いたことがあるよ。でも、流出入差がないことは封鎖人口に似ているけれど、前に話したように封鎖人口でも減少は止まらないよ。

娘娘: 空き家は家族単位で入るよ!

父: 小売店が売り出しするように力づくで増やすだけでは、将来再び減少するんだよ。消滅への軌道から脱却することは難しい。例えば、今すぐに3000軒の空き家に30-34歳の妻、35-39歳の夫、0-4歳の女の子が3000家族入っても、一時増えても消滅時期は同じだよ。(移住者は流出しない。今後生まれる子どもは佐渡の子どもと同じ動きをすると仮定)

娘: それは普通に考えてもおかしい!

父: こう考えてみたらいい。佐渡と同じ9000人の地域があるとする。佐渡と合併するだけでは今まで通り減少するだけ…と。 

娘: う~ん。じゃあどうすればいいと思うの?

父: 人口が安定したり増えたりする場合は、必ず出生数が安定したり増えるんだ。

娘: 必ずとはいえないでしょ!

父: では次のアニメをみてよ。常に若者の移住があり人口も増加してきた豊島区だよ。でも消滅可能性都市に入っている。今の佐渡よりも少し出生率が低いから、将来、もし移住かなくなったらどうなるか予想がつくよね。

娘: なるほど、移住があるだけでは長期的にみると安定せず再び減少するんだね。

父: そう見た目は人口増になるから気づかない。「経営的視点から人口を診る」がサイトの切り口だから、このようなやり方を「販売促進型」と呼んでいるよ。

娘: お父さんの口癖だからわかるよ。地域の人口減少は会社の売上減少、人口ピラミッドは貸借対照表に似ている。健全な会社の目標に対する売上不足なら大売出し等の販売促進だけれど、債務超過など貸借対照表が崩れているときはそうならない。売上を増やして、資本金を増やしても再び元に戻る体質がある。それを改善しないとダメ…でしょ!

父: うん。販売促進型の人口対策ならば、企業の決算セールのように頑張って見せられるかもしれない。何しろ、結果がでるのは数十年先の次の代だから待てない。今の皆が納得するには、一時的であれ決算セールで売上達成したほうか喜ばれるよ。

娘: じゃあ良いことではないの?

父: 例えば、お前たちに相続する場合、預金が多いのと少ないのではどちらが良い?

娘:  当然多い方…

父:  預金はあるが、実は大きな借金があったらどうする?

娘:  それは困るよ。預金がなくて私たちに渡せないのはお父さんの力不足だから仕方ないよ。でも借金は困るよ、お父さんがつくったものはお父さんの責任で無くして相続してよ! 

父: だよね。それを無くしたいが親の気持ちだと思う。地域だって同じと思うよ。少し前まで新潟県産業創造機構が受けた国の「よろず支援」事業のコーディネーターをしていたよ。そのときに経済産業省が出した支援機関への指針の一つに、「今小規模事業者におきている問題を我が身の課題としてあたること」という主旨のものがあった。

娘:  前に聞いたことがあるよ。 それは「子に対する親の立場と思った」と理解したと言うんでしょ。

父: 地域だって同じたと思う。次代が「祭りの後のようになる…」にしたくないは親として当然だから、頑張るのはいいことだけれど….

娘: それで?

父: 前述した「選択する未来」委員会の内容や、対応する心構えとしての経済産業省の指針も考えて活動してほしい…

娘: キチンと言わないとわからない。「止めるあてもないのに耳に心地よいこと言ったり、人口減少は最大の問題として中小企業庁は言っているのに平気だったり、日本全国どこもそうだからと言うことで解決したかのように言うのは困る」と言いたいんだよね。

父:  アメリカインディアン?の格言に「この大地は、先祖から受け継いだものではなくて、子孫からの預かりもの」という主旨のものがあると昔聞いたよ。それならば更に良くして渡すか、元のままで返すかが親心と思う。でも、そうできないと思ったときも….

娘: 続きは…借金など次代が困ることはやらないでほしい。でも社会をみると難しくなっているのは私にもわかるわよ。

父: 人口に話を戻そう! 当面、人口は減っても消滅しない安定した人口をつくる。それには、どんなに少なくてもよいのだけれど、出生数を一定数確保できる仕組みをつくること。これは今の代の責任だと思うよ。後は、今の代か次代の人たちが力に応じて積み上げていくやり方だと思っている。

娘: 3万人を維持する例を掲載してあるね。え~と、2025年から20-24歳女性を5年毎に771,858,929,983,1030….1217,1222,1225,1228;1231移住、又は合計特殊出生率を3.78,4.64,5.69,7.93,7.41….4.31,4.45,4.45,4.45,4.5とする必要があると資料にあるよね。そして、2095年にやっと減少が止まり2110年に3万人に達する…とあるね。これは大き過ぎるよ。とても達成できないと思う。

父: もっともっと少ないくいいんだ。例えば、毎年一組の夫婦を雇える単独又は複数企業があるとする。子どもは二人で島外へ行くが一人は配偶者と共に帰り、当企業又は企業群に就職する。定年になると年金を中心に生活する。企業又は企業群の売上先は島外とする。これだと、各年齢2名×100歳=人口200人だよ。

娘: そうか、後は企業力に応じて雇用を多くする、「人口の積み上げ」…ということかな?

父:  後は力に応じて雇用(人口)を上乗せすることになるよね。このコアができれば、消滅しないし先の「販売促進型」の対策が効果が出ると思うよ。

娘: それが上のアイキャッチが画像のアニメだね。人口減少が続く中で、人口のコアが確保されて一定の人口は確保される様子かな。

父: 人口が安定するときは、そのかなり前に出生数の安定または増加がある。その出生者が全体の6割程度になったときに、人口は横ばいか増加する。これが、「対策しても結果がでるのは数十年先」と言われる「人口の慣性」の内容だよ。

娘: なるほど。大当たりの新製品を売り出しても、すぐ企業全体の売上減少は止まらない。止まるのはグラフに示すと新商品が伸びる折れ線と売上減少の折れ線がぶつかるとき…と同じということだね。

父: そうだね。それは通常は新製品の売上が企業全体の売上高の6割程度になったとき。

娘:  お父さんは、それで何百年も先の当たりもしない先々の人口まで計算しているの?

父:  習った頃は30年先だった。今は40年間位先をしているところもあるね。新潟県は昨年から100年間にしたと思うよ。でも、それは減少が続くことを確認するだけだと思うよ。これからは、消滅するか否かに話が移ると思っている。

娘: そうすると、当たる当たらないではなくて、止まるか止まらないかだということ?

父: きっとね。30年前に当時の人口問題研究所の講師の方に推計方法を習ったとき、「習って何をしたいんですか」と問われる状況だったんだ。ところが今は、自治体中心に全国で自ら推計をしてるよ。自分が「したい、欲しい」と思うことは関わる他の人も欲しいと思うからね。

娘: 30年間ではわからないと思えば100年になり、それでわからなければ300年になるということだね。まあ、そうなるかどうかは疑問だよ。だって、お父さんは思い込みが強いし…

父: わかったよ。これも思い込みかもしれないけれど、佐渡では人口減少が始まってから2度目というンスが今あると思うよ。

娘: どんな?

父: 次のグラフは、新潟県の観光倍増計画と国の企業誘致政策を取り入れて、人口の流れを変えた一度だけの勝ち体験なんだ。 

娘: 同じようなことが佐渡島で今起きているの?

父: そう、消滅せずに安定させるための人口のコアづくりができるチャンスと思う。一つは、世界遺産登録で観光客増加の可能性が大きいこと。観光産業は島外に販売先を持つ産業といえるからね。人口のコアづくりには、島外売上をもつ企業が条件だよ。

 

娘: うん、佐渡島は殆どが島内売上で成り立っている事業が多い、だから島内企業は昭和50年から令和2年までは、事業所数が人口千人当たり70±3の範囲の数となっている…とあったね。じゃあ当時の製造業に相当するものは?

父: 新聞その他で話題のあるIT産業の佐渡での展開と思う。売上先の多くは島外だと聞いているからね。そして、今ある製造業の中にも本土や世界を舞台にしている企業もあるしね。

娘:  なるほど。お父さんの考え方なら農業、漁業、林業なども自給生活できる産業だし、特長あるものは島外販売もできるよね。消滅しないという点からみれば頼れる事業だね。


——

娘: 各データが、加工しない百年単位の生データが中心になっているよね。細すぎない?

父: 経営で対策を考える場合、何かを判断するには割ったり掛けたりした「率」、自分が改善しなければならない当事者の場合は、生データを眺めて、「アーダ、コーダ」と思い巡らせて、必要な箇所を取り上げて加減乗除してきたよ。

娘: でも経営と地域は違うよ。これまでだって、人口が減り増えた時代があったよ。

父: 確かに! 自然に増えたとか、社会背景により増えたりするね。その場合でも、ある年齢の人が5年後に必ず増えるはず。

娘: それはそうだ思う。ヒトはコピーでは増えないから…

父: 「こんなことをすれば、この年齢は、5年後にこれだけ増える」、そんな例を考えてみてほしいね。経験則から言うと、一つのことに対して強い意見や主張があると思っても通常はまとめると3点位まで、すこし考えると5点、10点の策を考える場合は、そうしなければならない事情があるなど稀なことが多かったよ。

娘: 幾つも考えると、全体としてどうなるか計算するには時間がかかるので、そんな場合は気楽に連絡ください。計算します…と言いたいんだね(笑い)

父: そう、自分自身、その流れに陥ってしまった?者なんだよ。30数年前の「村おこし」ブームの頃、その事業を担当して成果基準を「人口」としたのが契機となり、古里の行く末を知りたいと思い推計を始め、手計算では手間暇かかり過ぎ、当時のPC8801を購入してベーシック言語を調べながら書いて30年分を20分位かけながら計算して、何度やっても減少から抜け出ないのでシュミレーションをしたいと思い、Excelが主流となったのでマクロを使い、マクロの中で書いたベーシック言語の部分が動くと知り両方ともマイクロソフト社が考えたものと驚き、今では300年間分で1分間位でシミュレーションできるよ。

娘: なるほど。じゃあ自分てシミュレーションすればいいんじゃないの?

父: 30年間だから思いつくことはやり尽くしたよ。いや、きっと一定の切り口からしかしていないのだと思う。だから、再生への方法をやり尽くしてはいないんだ。だって、生残率以外は5年単位で自由に設定できるけれど、そうする根拠や理由が思いつかないから殆ど使わないからね。

娘: それはわかる。お父さんは夢中になると他に目が行かないし…

父: うん。人口を3万人とするには女性移住が何人必要かの計算を紹介してあるよね。これは、パソコンに通常の推計をさせ、そして3万人を維持するための子ども数を計算させ、当初推計との差を移住女性に頼るように自動計算しているんだ。だから一人の単位まで計算してしまっている。

娘: オタクだよね。確かパソコンの照合作業に時間が掛かりすぎるので機械語を一部使ったって聞いたことが大昔あるよ。でも、電話でExcelの使い方を聞かれてバーの名前とかわからず話にならなかったとか、スマホだって使っているのは電話機能だけでよね。

父: まあまあ、そんな私でよかったら使ってください…かな(笑い) 今年は後期高齢者入りだから責任あることは嫌だね。遊びや興味でゲーム感覚の範囲で….

娘: 以上、年頭にあたりお父さんの気持ちを述べました…だよね(笑い)

 

 

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