「集落」の人口推計 ~活用の可能性と限界~

By gkmyhn, 2022年2月25日

(前置き)

集落における人口推計

上のアイキャッチ画像として紹介するのは、25年前に仕事で計算した「両津の各地区」のものです。両津は広いため大小の地域があり、自分の集落でも使えるか否かを判断するにはよいと考えました。これは、30年前の実態データを使って今日そして将来を投影したものといえです。次の表の誤差を参考に、自分の集落で使える許容範囲か否かは各自で判断ください。

※「両津」「加茂歌代」の両地区は、別々に計算しているのですが、その後に地域割りが変更したため、合算してあります。また、「内海府」地区は、計算データの保存をミスして現存していませんでした。 共にエクセルファイルです。どんなことがわかるのかについては、結果の表(ここ)をクリックしてご覧ください。

私からみると、表の5年後の誤差は説明できる材料がないと大きすぎると感じました。一方、25年後となるr2年の誤差は、まあ地域の将来の傾向としてみるには使えると思っています。

このことから次のように考えます。

  • この先10年までの集落人口の推計は、このツールで計算するよりも、集落は隣組から始まるピラミッド型の幾つかの括りと階層で構成されていることを活用して、集落事業としての実地調査がよいと思いました。家族は何歳になるのか、家の後継者はいるのか、島外の子どもは帰ってくるのかなどをアンケートやヒアリングで調査して5年後、10年後の集落の姿をみる方法です。特に、集落においては、消滅するのか否かよりも、当面は、地域の仕事をする担い手数の行く末を知りたいことが多います。集落人口1000人未満のところであれば実施は可能と思います。地域づくりへの情報共有や共通の認識づくりにもなると考えました。
  • 地域の長期的な傾向をみるには、当ツールは使えると思いました。できれば、何十年先ではなくて100年単位の計算で消滅時期を知り、数人の移住があればどうなるのかなどシミュレーションしてみるとよいと思います。そうすることで集落人口が動き出す規模を知り、必要で十分な目標をもつ計画を作るとか、困る前に移転も含めての何らかの対応を練るなど早めにできるからです。

集落における人口再生の目安

紹介するツールには、あれこれシミュレーションする前に、その地域(集落)の「人口の現状」「再生への目安」をボタンを押すだけでわかるようにマクロを組み込んであります。その後に思う任意の数値入れたり、いろんな策を考えてたり、まずはゲームをするように入力してみればよいでしょう。

また、下図に紹介する国土交通省のサイトから転載した「人口千人の集落、毎年10人の移住・・・」の考え方を参考にするのもよいでしょう。かなり前にNHKの「クローズアップ現代」で「1%移住(論)」の紹介もありましたが、大きな地域よりも活発で、一方で困りごとの現場であり、情報や出来事の共有が簡単にできるのが人口1000人位と思います。

私は、現役時代にはイベントばかりしてきましたが、若者5人いれば何でもできると思えた時期があります。では、自分の集落人口で5人、あるいは3人のUIターンがあると将来人口はどうなるか等からシミュレーションするのもよいでしょう。「人口」に興味をもち、新聞やテレビで話題になるたびに、その地域の将来推計を趣味でしてきました。あえて言えば、それらの殆どは、長期的には何事もなかったのように消滅に向けて沈んでいきます。多くは、目標をクリアするための規模を知っていないためです。力があり、言動が他人に信用される方々なのに、それは困ること...と思ってきました。ぜひ「やってみなくてはわからない」精神で後日になりますが紹介するツールで自分の地域の将来推計をしてみてください。 (図はクリックすると拡大)

集落への人口推計ツール活用の限界(範囲)

次の表は、この25年間の私の地域(5集落)の人口推移です。

過疎は、周辺地域から中央へ人口が集まることが特徴でもあります。その流れに乗って長い間にわたり人口は横ばいです。また、h27.10国勢調査の時点の合計特殊出生率は2.65です。まさに、佐渡市が「人口ビジョン」で計画しているゴールとなる地域です。

では何か限界なのでしょうか。

  • 一つは、この地域の将来人口を推計すると増加の一方になりますが、そんなことが長く続くとは誰しも思えないため、確信ある提示できないからです。後日紹介する人口推計シミュレーション・ツールは何処でも使用できますが、泉区と同じような地域での活用はしない方がよいでしょう。今の泉区は、都会で唯一の消滅可能性都市で、かつ若者に人気のある移住の多い都市の豊島区と似ています。
  • 二つ目は、ツール自体の限界というよりは、UIターンにより消滅しない集落になったとしても、今の集落の課題は別途解決しないと、移住者にとっても住みにくい集落になると思うということです。高齢人口が若者世帯と入れ替わり人口総数が横ばいで、朝は昔の団地の風景のように子ども達の登校姿がみられる私たちの集落の課題をご覧ください。 ⇒下の画像をクリックしてください。(泉区広報から抜粋)

What do you think?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です