人口減少の進行度合を毎月知ろう! ~仕組み・ツール編~

By gkmyhn, 2023年7月9日

この記事は、人口減少の進行度合いを知るためのツールについて記載したものです。その説明などについては別の記事サイト(ここ)をご覧ください。なお、このサイトの更新は、キャップション画像で毎月の進行度合いをグラフで紹介すること、その計算の基になった「差異分析ツール」を新しいものに入れ替えておくだけとします。他は前述の記事サイトをご覧ください。

1 目的

9月議会の答弁で「日本人口が100年後には半分になるといわれている 人口減少を受け入れながら政策をつくっていかなければならないというのが基本的な大前提になる」という主旨の答弁がありました。佐渡において人口減少に対して聞く初めての言葉でした。挑戦する気持ちとは別に、一旦「受容」すると途上では諦めではない多様な活動につながると思っています。

経営では、「最悪を想定し、最善を尽くす」ことが大切ともいわれます。このためには、経営環境における不安や恐怖を明確な問題点、そして課題としなければなりません。次項の記載した「人口減少は売上減少と同じという仮説」を設定した場合、企業経営の経営環境を明確にするという点では、未だ人口減少の捉え方が曖昧過ぎるとと思っています。例えば、次のような例です。

●2015年(平成2?年)時点の人口を基にした社人研推計では、2060年(令和42年)の人口は19,789人となり、前回の社人研推計人口である25,146人よりも約5千人程度下回る見込みとなっています。さらに、2020年 (令和2年)現在の人口は、平成27年時点の社人研推計を下回る 51,492人であり、人口減少がより加速している状況といえます。(人口ビジョン)

●10年間の計画の中で、自然減の推移が減少していきますと、例えばスタートが令和4年そこの人口と10年後の人口ってどれくらい減る目安ですか。人口推計を用いて見ていますので、具体的に10年後がいくらかまでは分かりませんが、5万をすでに切っているので、年間1,000人くらい。大体推計よりも実績が下振れしているのが現状です。(行革委員会議事録)

●人口減少、少子高齢化の影響を受け、子育て環境や暮らしのあり方が多様化するなか、未婚・晩婚化などにより出生数が減少しています。年少(総合計画)

しかし、実際はキャプション画像のグラフのように、過去の実績値(生残率、出生率、移動率)で計算した場合の誤差は0.5%前後です。また、過去においても2005年からは同様(ここ)で決して加速してはいません。人口減少で一番大きく占めるのは死亡数(ここ)です。今後40年間で人口の半数を占める60歳以上人口が順次亡くなると、その数は毎年650人弱で毎年千人といわれてきた減少数の大半です。こう考えると、佐渡は2060年に32,000人口を目標にしていますが、それは現在60歳未満の人口25,000余りを増やす目標でもあります。高齢者が順次亡くなることを嘆くことになる「人口減少」総数で捉える考え方、それは変える必要があるでしょう。少子化についても同様です。最も大きい要因は女性数の減少(ここ)です。

共に企業が経営環境を把握するには、曖昧で余計な不安を抱く記載の仕方となっています。国が経営環境について「今後の最大の問題は人口減少」としています。この対応の一つとして、中小企業政策を大転換させて51年ぶりに基本法を制定しました。経営環境の大きな要素「人口」について、あまりに専門家と行政任せにしていることがり前述の曖昧さへ通じていると思っています。

このサイトの目的の一つは、自らは計算せずネットに溢れる情報を思い思いに収集しているやり方について、「まずは自分で計算してみましょう」と推奨するサイトでもあります地域全体の行く末は行政や専門家に任せる?としても、個々の企業は継続に必要なこと、個々の家庭においては自分の子ども、可愛い孫の将来に対して自ら又は関与することで重大な負の遺産を残していないかの確認がで、その対応ができると思います。その一例が(ここ)です。

 

2 見方と留意点

〇人口減少と売上減少は同じという仮説を設けていること

人口減少は売上減少は、症状や対応が似ていると思っている筆者が、「人口減少=売上減少」との仮説を設けて記事を記載しています。二つは似ているところはあるとしても全く同じではないことから、公の場で論じたり論じ合う対象となるものではありません。

〇三つの折れ線グラフの見方

会社の売上高に例えれば、担当者が「これまでの実績を延長すると売上高は幾らです」が後藤推計。上司が「過去の延長だけでは駄目だ。景気や取引先の状況を加味しろ!」が社人研。社長が「予測だけでは駄目だ。会社は幾らいるんだ」が佐渡市.。会計課が今月の売上高は幾らでした」と報告するのが新潟県.かな?…..と。

したがって、「推計」といいながらも、推計値と実際値の差は「誤差」というよりも「乖離」捉えています。例えば、佐渡市の目標値との差は、社長が望む売上高にならなかった場合の未達成額、上司が生死、社会的移動、出生の変化を見込んだ場合、そのとおり進まなかった差としての人数、担当者が過去の実績を将来に延長した場合、過去の動きと異なることが発生した差としての人数…です。

グラフの最初部分が三者バラバラに始まっています。これは、推計期間の途上から表示しているためです。また、佐渡市と社人研は2015年、私は2020年が始点の推計になっています。このため、佐渡市と社人研の実数との誤差または乖離が大きいとは一概にはいえません。

〇人口減少に季節変動を加味させていること

経営では年間の売上計画を毎月の売上目標に振り分けます。季節毎に売れる月と売れない月があるので季節指数を算出して割り当てます。決算をして達成できたと喜び、できなかった反省し来年は頑張ろうでは遅すぎるためです。人口減少について一喜一憂?するのは国勢調査がある5年毎。これでは遅すぎると考え作成してみました。

佐渡市も社人研も私も、5年間単位で推計しています。それを5等分して毎年の推計値としました。各年の月単位の推計値は、過去3年間の月ごとの増減数から規則性を見つけて季節指数を出して、この指数に前述の年間減少数値を振り分けたものです。なお、国勢調査と同じ10月1日現在の佐渡市、社人研、私の推計値は、季節指数は加味せずに前述の5等分した数値となっています。したがって、10月1日現在の数値は三者とも自らの推計値に近似していると考えます。

 

3 作り方

(1)次のツールをダウンロードします。

ツール:差異分析用ツール

※ウィルスはないことを確認してあります。ダウンロード後、ファイルを開くときに「このブックには安全でない外部リンクが1つ以上含まれ...」と表示されます。安心して「リンクを更新する」「編集する」をクリックしてください。なお、赤色のシートだけご覧ください。

(2)「カウントダウン時計」シートを開きます。

「表」の黄色のセルの該当月欄にメモした県「推計人口」の値を入力します。これで終了です。(自動計算で「増減割合」などの数値が計算されます)

なお、数値は毎月連続して入力する必要はなく、知りたいときだけ入力して、そのときの状況を見ればよいでしょう。

 

(2)仕組み

・ツールの「カウントダウン時計」シートの⑩欄に、カウントダウン時計の数値に⑦欄の季節変動数値を加除し、県人口推計値と比較できるようにした⑧欄の数値と⑨欄の県推計人口との差が表示されます。この考え方は次の図をご覧ください。(また、図作成の基になっている前述「差異分析ツールの「季節指数」シートもご覧ください)

・この数値は、企業の売上高でいえば昨年売上高に比較した増減値です。ただ、⑦欄「季節変動の調整」の値は、「季節指数」シートで計算したもので、一定の根拠はあっても長年にわたり使用する性質のものではないものを使っています。何事も目安を数値で知るとわかりやすいという参考値として使用ください。

・⑪欄「増減割合」は、企業で言えば「昨年の売上高に比較した増減割合」です。マイナスは、昨年よりも低いことを示し、その程度を数値で示しています。

 

(3)手順は「差異分析ツール」に記載してありますが、次のような流れが必要になります。

①資料として「 新潟県人口移動調査(推計人口及び人口移動」が必要ですが、次のファイルをダウンロードします。

②前項の①の画面の下方にある「新潟県推計人口(月報)」にある「令和5年〇月1日現在」をクリックします。③前項②の画面の下方にある「人口動態の推移(表3)、市町村別人口・人口動態及び世帯数(表4) [Excelファイル/72KB]」をクリックします。➡エクセルが開きます。

③前項②の画面の下方にある「人口動態の推移(表3)、市町村別人口・人口動態及び世帯数(表4) [Excelファイル/72KB]」をクリックします。➡エクセルが開きます。

 

(4)参考事項

①これまでの人口推計は予測値の役割、差異分析ツールでは基準値の役割

これまで、人口推計を現状を将来に投影した予測値として捉えてきました。この差異分析ツールの基になったカウントダウン時計は、佐渡の「長年の人口減少」や「人口の慣性」から減少の軌道に乗ったためか、これまでは5年先の誤差でいえば1%未満という正確さで推移してきました。そこで差異分析ツールでは、将来を推計するという視点だけではなく、国勢調査前後の人口増減の比較するための基準値としての意味合い含めました。

②推計人口(県)の公表 ~新潟県ホームページから転載~

・毎月1日現在で公表している総人口です。また、前年10月1日から当年9月30日までの1年間の人口動態の調査結果も公表しています。
・直近の「国勢調査人口」を基にその後において届出のあった日本人及び外国人の出生・死亡と転入・転出を加減して算出しています。
・5年ごとに実施される国勢調査の結果に基づき基準人口の切替を行い、当該国勢調査日に遡って公表します。
・国勢調査が実施されない年は、各年10月1日現在の推計人口がその年の代表値として使用されます。

②「国勢調査人口」及び「推計人口」と「住民基本台帳人口」の違い ~新潟県ホームページから転載~

「推計人口」の基となる「国勢調査人口」は「常住している者」を調査しており、住民基本台帳法による登録とは異なるとらえ方をしています。そのため国勢調査の調査時点において、(1)住民基本台帳に登録されていないが「常住している者」は「国勢調査人口」に含まれます。(2)住民基本台帳に登録されているが「常住していない者」は「国勢調査人口」に含まれません。

 

3 カウントダウン時計と差異分析ツールのねらい

(1)カウントダウン時計のねらい

昔、「記録するだけのダイエット」方法?なるものを行っていたことがあります。人は、気になるものは更に気になり、遠ざけていると更に遠く忘れ去られることがあるようです。体重をはかるだけではダイエットにならないのは勿論なんですが、まず一瞬「減り気味だ。よかった」とか、「これはマズイ、少し控えよう」とか心に浮かびます。そして、買物の際には「大人にオヤツは必要ないですよ」と言われていた言葉が浮かび、食事のときには”ご飯の盛付け”が腹八分目にしようと気持ちになったりします。気にしていると気になり、気になると関連する何かを思いつき、思いつくと、行動に移ることもある…ということなんでしょう。

カウントダウン時計は、このような関心の広がりをねらっています。今「人口減少」という言葉が頭に一日に何回も浮かび、何とかせねばとか、この対応でよいのか等と気にするのは、それを仕事にしている人だけかもしれません。

(2)差異分析用ツールのねらい

「カウントダウン時計」をみて、現状への認識が深まっても対応を考えるまでには至りません。地域の人口減少は、企業の売上減少に似ていると思っています。そこで、企業経営で売上管理で行っている方法を応用してみようと考えました。

経営で良くない管理のやり方の一つは、決算書が出てから昨年との差異や計画との差異を分析して、翌年は頑張ろうとする一年サイクルのやり方です。毎月(できれば毎日)管理し過不足に対するアクションを起こすには、まず月々にある企業独自の季節的な売上変動を考慮した目標や目安となる数値が必要です。次に、例えば3カ月連続して計画値を下回った場合は、その原因を探り、売り出しその他の販促を行うと等の流れになるでしょう。例えば、「1 (1) ⑤」の表をみると、前国勢調査から2年半を経過し、毎月累積で1%未満の減少で推移していることがわかります。これを頑張っているとみるか、これだけUIターンが多くても期待する成果が出てないのかとみて、対応の見直しや新たな販促策を練るか、その判断は企業経営と同じでしょう。少なくとも、一年間放置して差異分析して新たな対策をたてるという流れにはなりません。

 

3地域で活用しよう!

あなたの古里の「差異分析用ツール」を作成してみませんか? 作成方法は比較的簡単で「差異分析ツール」に記載してあります。一時の移住者の増減に一喜一憂することなく、より正しく古里の現状を把握できます。

また、これを作成すれば、ネット上で無料提供されている幾つもの「カウントダウン」アプリを利用して「カウントダウン時計」も作ることができます。

————————————————————————–

〇社人研データを使ったシミュレーションをはじめます。(r5.12.30記)

このほど社人研が全国市町村の2020-2050年までの推計人口を発表しました。社人研のグラフには、この発表された新しい推計人口を掲載しました。前の推計に比べて差異は非常に小さいものになっています。

私の推計は過去の生残率、移動率、出生率の実績値を基にして推計しています。社人研の推計は、今後の人口の動きを見込んだ数値です。この両者の5年後の2025年の数値の差異が29名でした。

人口推計は当たる当たらないを予言するものではないと承知していますが、古里の行く末を知りたいと始めたためか、当たることに執着した気がします。その点で、社人研のものは先の動きを加味している分だけ推計差異が大きい状況でした。

このために勘違いをすることも出てきます。例えば、佐渡市の「人口ビジョン」に、「2020 年(令和2年)現在の人口は、平成 27 年時点の社人研推計を下回る 51,492 人であり、人口減少がより加速している状況といえます。」と記載されています。しかし、実績値を中心に計算している私の推計の誤差は、2010年以降の国勢調査で1%未満です。決して”加速”してはいません。予定どおり?減少を繰り返しています。

〇人口減少は売上減少?

このサイトでは、人口減少を売上減少と捉えています。グラフを売上高とみた場合、3カ月以上も販売計画をクリアできない場合は販売促進策の展開でしょう。皆さんの場合は、どんな展開が考えられますか?

〇初めての「人口減少」受入れ!

9月28日の更新:9月議会の答弁で市長は、「日本人口が100年後には半分になるといわれている 人口減少を受け入れながら政策をつくっていかなければならないというのが基本的な大前提になる」「今後は、15-64歳の生産年齢人口の割合を大きくしていくことが大きな視点となる」と言っていました。そこで、タイトル副題を変えました。なお、以下の本文は変更しませんが、「はじめに」にある「将来の姿を提示」して「こう対策するから大丈夫だよ」という姿を提示してくれたものと思いました。

〇サイトの説明

このサイトは、地域の人口減少は企業の売上減少に似ていると思った筆者が、例えば小売店が将来の販売予測を基に売上計画をたて、その達成ために日常の記録をつくり、目標との差異分析に必要な情報を提供し、それを基にして目標達成のために必要な販促を常に考える過程を提示したものです。人口減少は売上減少そのものではないので、記載している内容は、関係者が行っている対応などを評価しようなどというものではありません。ただ、売上がなければ企業は存在できず、人口も内閣府 経済財政諮問会議 専門調査会「選択する未来」委員会では、「人口が減り続ける社会は、いずれ消失することになり、どのような未来も描くことはできない」としています。「売上高」の場合は、部門別その他の中間に目標数値を定めて達成を確実にすると共に差異分析を容易にします。「人口」の場合も、例えば出生に関する数値や流出入に関するす下位目標を定めています。しかし、企業の売上高管理とは異なり、どれも人口減少という最終目標に対しての必要条件とはなっていますが、それらを全て達成しても人口減少が止まるという十分条件にはなっていない状況に感じます。このため、人口減少に対しては下位目標と位置付けられる出生数何人は維持しようとか、UIターンが何人にあったということ、思うようにいかないことに一喜一憂します。その傍らで、人口減少は船が沈むように何事もなかったかのように着実に進む、これが何十年も繰り返されてきました。私は、多くの人達が既に人口減少は仕方ないとか、人口減少はしているが何とかやれているとか、人口減少を許容していると感じています。それならば、そのような将来の姿を提示して、でも大丈夫だよということを話題にするとよい時期にあると思っています。


〇原点回帰が必要 ~幾ら稼げばいいの?~

地域の人口減少は、企業の人気度ともいえる損益計算書の売上減少に似ており、人口ピラミッドは企業の履歴書ともいえる貸借対照表に、その症状も対応も似ていると思います。

では、損益分岐点売上高として最低限目標にしなければならない数値は人口減少でいえば何でしょうか。大きいのは住民の生活に必要なお金でしょう。家庭でも生活費に見合う収入を得ることが第一だし、子どもの進学や就職で島外に行く場合でも、生活費と給料や仕送り、アルバイト料などの計算が大切となります。私が質素に年金生活できるのは、子ども達が巣立ったからです。では、地域では幾ら稼げばよいのでしょうか。人口減少で毎年1000人もの生活費が必要なくなるのに、なぜ更なる産業活性化が必要なのでしょうか。企業経営に例えれば、幾ら稼げばよいのかわからないままに頑張りましょうと言っている気がすることがあります。ただ、目に見える症状としては答えは出ています。古里は、人口が半減しても生活が成り立っだけの産業規模があるからです。幾ら稼ぐことが必要か、それはスタート地点で示されなければならない数値と思います。何のために「産業活性化」なのか? その基部分の根拠ある数値を示しての展開がなく、「活性化」「活力」という心地よい言葉を基にした空中戦をしている気がすることもあります。

〇沈みゆく船と活性化

私は、心配性なもので、先々への取り越し苦労が多く30年間の商工会勤務で20を超える新たなイベントを含む特別事業に携わってきました。殆どは、過疎化を背景に大変なことが起きると思い挽回しようとした活性化が土台になっていますした。しかし、いま振り返ると果たして必要だったのか?と思うのです。どれだけ、沈みゆく佐渡丸の復原に役立ったのかと思うのです。そのような視点で見ると、今なお同じようにモノづくり、コトづくりは多く、沈みゆく船の中で活性化を論じ行っている気がするときがあります。それは、当面”沈みゆく船の復原”にどれだけの効果があるのか、後々の人が困ることではないのか考えることも大切でしょう。


 

What do you think?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です