UIターン年500人の効果 ~すぐに使えるデータセットをした「シミュレーション」ツール付き~

By gkmyhn, 2022年7月21日

〇更新r4.7.23: UIターン500人の効果をハッキリさせようと全体構成を変え、内容も書き換えました。

 

娘:  久しぶりの会話形式だね!

父: うん、いろんなことの区切りがついてきたんで、久しぶりにシミュレーションツールを動かしてみたよ。

娘:  そういえば、UIターン者が2年間続いて500人以上と聞いたよ。スゴイね!

1UIターン年500人の効果を数値化してみた

(1)人口全体でみる500人の効果

父: 500人の流入の効果を「人口再生シミュレーション」ツールで計算してみたのが次の表だよ。

娘:  既に達成済みの2年間分と、5年間まで続いた結果までを計算したんだね。

父: 例えば、既に2年間終えた成果は、減少を2025年時点で2.2%止め、それは遠い将来の2060年では6.6%に相当するとみるんだ。

娘:  えっ! 将来の方が効果が大きいのは何故?

父:  2060年は、今から40年後だから、”団塊の世代”を含み高齢者が多い。亡くなる人も多いよね。一方で、UIターン者は、ここでは年齢構成がわからないので30-34歳を想定しているけれど、年齢は低いから亡くなる人も少ないためだと思うよ。

娘:  なるほど、人口総数の減少だけでなく、人口ピラミッドの年齢構成改善がされるよね。今年度も達成すれば、表みると将来は人口総数でも1割以上の改善になるんだね。

父:  そうだね。先代の”結果”が今で、今は将来への”因”をつくっているという、まさに「人口の慣性」(ここ)そのものだね。

(2)60歳未満人口でみる500人の効果

①その意義

娘:  なぜ、60歳未満人口なの?

父:  ほらっ! 人口減少数の9割以上は高齢者が亡くなるためと記事にしたことがあるよ。(ここ)

娘:  わかっているよ。”人口減少対策って亡くなる人を止めること?…ではないって言いたいんでしょ!

父:  うん。次の図のように人口の半分は高齢者、40年後を考えると60歳以上の方25,837人の殆どの方は亡くなるよ。

娘:  だから、もう決まっている亡くなる人を入れての人口減少対策ではなく、人口ピラミッドの下半分の人数とバランスを考えようと言うことね。

父:  それであれば、UIターン500人は、単年度だけでも人数的にも年齢構成のバランスを改善する上でも更に効果あることだと思うよう。

娘:  確かにね。「経営視点で人口を診る」が口癖のお父さん流にいえば、「今の経営内容からみて中々止められない売上減少を止める」という中からは悲壮感しか出ないね。

父:  もう一つの側面「ここを増やそう、新製品の売上を伸ばそう」というように視点が変われば「攻めのムード」になるってことだね。

娘:  確かにそうかもしれないね。人数面でも年齢構成面でも効果抜群の成果をあげながら、人口の半数25000人以上の人が次々と亡くなる分を超えるUIターンを目指そう! それは酷だよね。

②60歳未満人口でみるUIターン500人の効果

父:  60歳未満の人口で、上の(1)と同じ計算したのが次だよ。

娘:  効果が一段とアップしているね。率だけでなく、人口の絶対数も際立つね。

父:  そうだよね。人口全体だと隠れてしまっているけれど、これだと増加しているのがわかるね。人口の1%位の流入で、総人口や年齢構成などが改善すると国土交通省なども言っているよ。でも、それは人口千人余りを例にしている。佐渡は5万人だからね。立派だと思う。

娘:  なるほど、500人のUIターンが2年間続いた実績だけでも、2035年という15年間先まで人口を維持、今年度も同じだと2040年と20年間も維持できるんだね。すごい改善だよね。

③人口の広がり方 ~500人のUIターンが2年間続いた例~

父:  実績の500人を二年度にわたり達成した実績をinputして、計算結果から男女合計部分をツールから切り取って示したのが次の表だよ。

娘:  なるほど、子どもが増えていく様子がよくわかるね。これは500人のUIターンの2年間の実績だから、今年度も500人を達成すれば、その分を乗算すればいいんだよね。

父:  それはそうだけれど、末尾でツールをダウンロードできるようにしたから自分でやってみてよ。

娘:

この先5年間って人口についても期待したいチャンスが幾つもある期間(ここ)だとお父さんは言っているけれど、いいスタートを切ったんだね

2減少を止めるUIターンの規模と必要な継続期間

(1)短期間に増やすことに力点をおいた方法 ~短期戦略~

娘:  ねえ、さっきの表をみると、頑張れば効果はあるけれど、長期的にみると減少へ転じるんだね。

父:  うん。それを60歳未満の人口で計算したグラフが次だよ。

娘:  なぜかなあ?

父:  今回の500人の例でいえば、全国には佐渡島と年齢構成が同じような500人位の集落があるだろう→毎年500人規模の集落と飛び地の合併を5つの地域と行う→合併しただけ人口は増えるが減少は変わらない…だよね。

娘:  長期戦略も必要ということだね。

父:  そういうことだと思うよ。先の「人口の慣性」って結果が出るのは数十年先だとも言えるし、0-19歳人口が20-39歳人口になって再生産年齢の中心になるといえるから人口は20年単位(ここ)ともいえるかもね。

(2)長期的な安定に力点をおいた方法 ~長期戦略~

父:  次のグラフは、「④30-34歳のUIターン年50人が男女半々で続いた場合」「③60-64歳のUIターン年500人が男女半々で続いた場合」のものだよ。

娘:  ④のグラフをみると、人数が少ないけど横ばいになるね。 なるほど、この例では人口の僅か0.1%でも横ばいになるんだね。③のグラフでは、人口の再生力はない60-64歳の方の移住でも人数に応じて横ばいになるんだね。

父: 「 継続」が大切だということがわかるね。でも、現実では一定規模を確保したいのだから、「規模」と「継続」が必要ということかな。

娘:  過疎化脱却かなどと言われてきた地域の殆どは、再び減少しているみたいね。きっと、その継続ができないんだね。

(3)目標人口を設定して、達成の後は継続する考え方と方法

父:  次の表の①②は、人口3万人で減少を止めて維持するための例を「20-24歳女性の移住」と「合計特殊出生率」の側面から計算してみたものだよ。④は、UIターン300人が続き、子どもは二人いることを想定する将来人口がどうなるかを計算してみたものなんだ。

人口減少を女性数、出生率で止めるための目安計算。毎年移住300人、子どもは夫婦2名と設定した将来人口。

 

娘: ①②の数値が細かく、そしてバラツキがあるね。どうして?

父: 計算のやり方は、まず3万人に必要な出生数を計算→今の出生数との差を計算→今の出生率で女性何人分か計算→その人数を流入数として人口推計する。これを5年毎に繰り返しているんだ。

娘:  それをお父さんが行うのではなくて、パソコンに自動計算させているんだよね。だから、一人の単位まで出ているんだね。出生率欄は、女性数の移住ではなくて、今いる女性数で子どもを何人産めばよいかという出生率に置き換えているんだね。

父:  そうだね。時々、頼まれて人口推計をしてきたよ。はじめての地域がどんな地域かを知るためなんだ。そうしないと、幾らシミュレーションしても必要な数値に中々行き着かないして、

娘:  わかったわ。末尾でダウンロードを案内しているツールの「一括2」シートがそれね。確か、クリックするだけでから表が計算されるんだよね。

父:  今回のテーマ年間500人UIターンは5年間で2500人だよね。

娘:  表をみると、2025年768人だから人口の安定化に向けて目標値を完全にクリアしているね。

父:  UIターン者の年齢を20-24歳女性としているから、実際のUIターン年齢で行わないと何とも言えないけどね。

娘:  でも、お父さんは最初からクリアできない地域が多いと常に言ってきたよね。

父:  そうだね。過疎脱却又は人口が安定するための必要十分条件があるよ。その目標値が定まっていない感じがするとね。

娘:  表をみると、最初の5年で768人、次が855人、926人、そして多くなっても5年間で1200人台だよね。年齢構成などは別として、規模としては凄い数値といえるね。

父:  これまでに過疎脱却かと言われた地域同様に稀だと思うよ。他の地域の多くは、失速気味だと思う。

娘:  その規模を何時まで続けなければならないかを予めて計算していない…って言うんでしょ!

父:  そうだね。この「人口再生シミュレーション」ツールを使って計算してほしいね。きっと、近似値は出ると思うよ。

3大切な差異分析の基本事項

(1)移動率

父:  経営視点で診るとハッキリしていないと思うところがあるんだ。

娘:  どんなとこ?

父:  次の表は、人口推計の際に使う佐渡島の年齢別の流出

入を示す移動率だよ。左が実態値、右

が社人研の数値だね。

娘:  、黄色のセルが大きく異なるところだ

ね。若者層の流出入率など重要なところも差があるね。

父:  移動率は平常値を使い、大きく異なる理由があれば是正するのが基本なんだ。もし、社人研と実態値との違いが説明できないまま使うと、結果を評価するときに差異分析できなくなるよね。

娘:  確かに! そうすると再び同じような目標値を立てる繰り返しを続けることになるね。

父:  差異分析は行っているようだけれど、経営で行うのとは違う気がする。

(2)移動人数

父:  経営では計画は必ず数値化するよ。仮に計画の内容を皆で共有できない場合でも、ノルマ?の側面もある数値を各々の分野で達成すれば目標数値を通して計画自体も達成できる仕組みなんだ。

娘:  そうなっていない気がするの?

父: うん、例えば前々年からUIターンが500人以上あると言うけれど、新潟県が公表している次の表の「転入者」に既に入っているかどうかわからないんだ。

娘:  お父さんは、この数値に上乗せしての500人UIターンな訳ね。

父:  そうなんだ。表からみる今までの数値と、UIターンが500人あった結果が”r2.10-r3.9″の”920″人とすると、500人の全部又は一部が既に表の数値に入っているかもしれない気がするんだよ。

娘:  わかった。上の表の”h27.10-r2.9″までの数値で計算すると、1000人以上の転入があるのに前の期間よりも45年間も消滅が早まった。それなのに、今後5年間の最初の年に920人とあるから心配しているのね。

父:  そういうことだね。佐渡島の場合、転出入がゼロになっても消滅への軌道から降りられない状況だから….

 

 

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【シミュレーション」ツールの使い方】

ここでは、移住数を変えるだけ絞って簡単に使うだけの説明をします。

(ダウンロード)

①「人口再生シミュレーション-Ver25-佐渡(500人移住)-全人口で計算」ファイル (ここ)
※佐渡全体の人口で計算したファイルです。「増減2」シートにある流入数と期間、年齢を変えるだけでシミュレーションできます。

②「人口再生シミュレーション-Ver25-佐渡(500人移住)-60未満人口で計算2」ファイル (ここ)
※佐渡全体の60歳未満の人口で計算したファイルです。「増減2」シートにある流入数と期間、年齢を変えるだけでシミュレーションできます。

 

(手順)

①上の本文に記載したファイルをダウンロードします。

②ZIP形式のファイルをダブルクリックし、「人口再生シミュレーション-Ver25-佐渡(500人移住)」ファイルを取り出し任意の場所に保存します。

③途上で問われる「ウィルスの可能性」は無いことを確認してアップしているので「編集を有効にする」をクリック、続いて「マクロは無効にされました」には「有効化」をクリックしてください。

④ファイルの「増減2」シートをクリックしてください。一番上の黄色の表には、2025年に一年に500人のUIターン者を男女半々にして5年間分の数値が入っています。確認ください。

⑤これに訂正する形で任意の数値を表に入力ください。

⑥「推計2」シートを開いてください。上の「推計開始」をクリック→何年分?の問いに505と小文字の数値を入力して「OK」クリック→1分余りで「終わりました」のポップアップメニューがでるので「OK」をクリック→これで計算終了です。

⑦結果を見るには、「総合計」シートをクリック→「合計消去」をクリックの後に「統合」をクリック→これで、既に計算してある通常推計の「合計」と今回行った「合計2」シートが合計されます。

⑧「グラフ500」シートを開きます。上部の数値が入っていない行の「総合計転記」をクリック→「総合計」シートの合計欄のみ転記される→同時に下にグラフ表示されます。

以上です。

もう少し詳しく習いたい方は、使い方の記事(ここ)の「(2)あなたの再生案を入力してシミュレーション」をご覧ください。

また、本格的に使ってみたい方は、記事の”人口減少、「どうなるか」から「どうするか」へ向け「シミュレーション」ツール使ってみません”シリーズの①~③をご覧ください。

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