「県人口50年に141万人」「住民による分析が重要」と。(新潟日報の記事から) ~すぐ使えるよう再生シミュレーションに必要な数値をセットしました~

By gkmyhn, 2022年11月22日

紹介された新聞記事

娘:  つい最近の新聞記事(ここ①)(ここ②)のことだよね。

父:  そう。これまでも1%移住論とか、その具体化と言える人口1000人位の地域だと10人程度の移住で改善できる等とは聞いてきたよ。

娘:  記事は、それとは少し違うの?

父:  うん。「(人口が)安定するシナリオもある。20代前半のカップル、30代子連れ夫婦、過去に流出して定年を迎えた60代夫婦、20代後半の女性をバランスよく定住させたと仮定した予測だ」とあったんだ。今までとは少しニュアンスが違う感じだね。

娘:  わかったわ。でも、それとお父さんの人口再生シミュレーション・ツールを使ってみてほしい….と関係はあるの?

県人口が動き出す規模を予め知ろう!

父:  記事に「大事なのは住民自身が地域を診断することだ。できるだけ小さい地域単位で見ることが重要で、どこで若者や子どもが減ったり増えたりしているかを分析し、地域に共通する要因をあぶり出してみる。その上で定住増加の晨を設定して取り組んでほしい」とあるよ。

娘:  それで?

父:  最初に人口が動き出す目安を数値で知っておいてほしいんだ。そうしないと、あんなこと、こんな活動と数が多くなるだけだよ。今の対応の流れは”あれもこれも”とし過ぎる位だと思う。

娘:  よくお父さんの言っている「すべては必要条件だけれど、それを全て達成しても目的達成への十分条件となるとは限らない」でしょ!

父:  そう思うよ。一言でまとめれば「行う規模と期間を把握すること」だね。殆どの対応は、まず規模の面で足りないよ。そして、成功と言われている地域の多くも人口減少のレールを抜け出せないでいるよ。それは、その規模を毎年新たに創り出していける「」期間の不足だね。

娘:  なるほど。だから、その規模と期間の目安を知ってから提案活動に入ってほしい...ということね。確かに、私も進学するときに、希望校の偏差値に合った受験勉強をしたものね。必ずクリアできる値を最初に具体的に知っておくことは前準備として大切だよね。

父:  そうなんだ。新聞記事にあった”持続地域総研の開発ツール”をみんなが活用できるわけではないしね。

まず必要数値をセットしたツールを使ってみよう!

娘:  タイトルに”すぐ使えるように数値はセット”とあるね。動かすだけっていうこと?

父:  ボタンを押せばよいようにしたよ。そして、シミュレーション数値を入力する欄も新聞の記事に沿った年代ごとに仮の数値を入れてあるよ。

娘: なるほど。自分でやりたいときは、その数値を置き換えればいいのね。それならできそう!

父:  一応、「やり方」は末尾に「ツール入手と操作方法」として掲載しておいたよ。ツール全体を使ってみたい場合は、既に提示したソ操作マニュアル(ここ)を見るといいね。

予め知っておいてほしいこと

娘:  そうして計算した結果は一覧できるようにしてあるのが下の「表」ね。これをみると、基点となる2020年の数値が各々違っているね。どうして?

父:  一つは、「年齢不詳者」が2020年26,940人、2015年9,781人、2010年10,293人いるんだ。通常は一定方法で按分するんだ。でも私の場合は、架空の年齢の人を計算する気がして嫌っているだけ。

娘:  なるほど神経質だね。ということは、合計で比較できるようにするには、前期の年齢不詳者を加えて今期の年齢不詳者を差し引けばいいんだね。2020年国勢調査で発表されているのは「持続地域総研」の2,201,272だもんね。

父: そうだね。 二つ目は、過去に行った推計の2020年の推計値を記載してあるためだね。社人研の2015年基点、私の2010年基点の例がそれだね。

娘: わかった。新聞記事では、2050年1,416,274人とあるのに、お父さんの推計では1,316,258人と約10万人の差があるね。社人研の計算値は空白だけれど、その前期までの数値で比較すると更に大きな差がある。

父:   私の2010年基点の例に、年齢不詳者の調整をすると持続地域総研との差は571人だね。計算手法は異なるんだけれど、これ位の差かなと思っているよ。だから、今のところ原因は不明だよ。

娘:  ちょっと問題だね。ほかに考えられることはないの?

推計結果の差異の原因

父:  2010年~2015年と2015年~2020年で異なるデータの大きなものは、移動率で次の折れ線グラフの差だよ。それなのに、2010年~2015年データを使った推計値の方が近似値になっている。不思議だけれど勘違いも考えられる。

娘:  お父さんは勘違いが多いからね。まあ、シミュレーションは、各ツール毎で行うから何をするとどうなるかを見るんだから、再生の目安値を知ってほしいという点では問題はないかもね。

父:  社人研の誤差は”正しい誤差”だね。

娘:  正しい誤差?

父:  うん。人口が決まる要因は多いよ。その要因を仮定すれば一層正しくもなるけれど、誤差(ここ)も大きくなる。

娘:  社人研データは、全国の公機関で使っている、だから信用できるものにするためにはいろいろな要因の考慮が必要。でも、その仮定とならない場合は誤差も大きいということね。

父:  そうとも言えるね。

出発点となる新潟県人口の現状はどうなんだろうか?

父:  提供するシミュレーション・ツールでは、「一括」1シートで地域の「現状」を自動計算させているよ。

娘:  新潟県の場合はどうなの?

父:  全若者が定着しても減少、低い出生率を全女性が2人の子どもをもつ状況にしても減少、県外との流出入を断つ「封鎖人口」で計算しても減少の状況なんだ。

娘:  だから、人口を決める要因を単純化すると、かえって実態値に合うんだね。

人口が安定するシナリオもできるという!

父:  持続地域総研の記事で、「ただ将来、現在の人口の7、8割でほぼ安定するシナリオもある」とあるのが嬉しいね。近年、こんなに明言してくれているのを聞いたことがないよ。

娘:  お父さんは、ツールを提供するから自分で見つけて自分の責任で発表してほしい...としているだけだからね。

父:  まあね。でも、「増減要因の住民による分析が重要」とする中、アイデア合戦となり総花的対応策とならないようにするためのツールと位置付ければ、それなりの役割はあると思うよ。

娘:  確かに、”この数値を入力すると人口はこうなる”を知ってから対策を考えると、その数値を確保できない対策については排除できるもんね。

父:  必要(条件)であり、かつ目的達成への十分条件に合致する対応をする評価基準ともなると思う。

娘:  ただ、新聞記事では、安定するシナリオの考えを聞いた記者が「実現は簡単ではなさそうです」と言っているよ。

父:  そう。もう一つの見方?やり方?があると思うんだ。

もう一つの視点からの安定化 ~移住1000人でも安定~

娘:  どんなこと?

父:  2050年っていうと30年後だよね。今の70歳以上の547,598人は殆ど亡くなっているよ。そうすると、今の時点で30年後は1,653,675人なることは確実ともいえる。

娘:  確かに! 50年後に8割にするシナリオが成功しても1,761,018人なのにね。

父:  この「記事」サイトで書いたけれど、人口減少全体を問題にすると、それは減少に占める割合から考えると”死なないようにする対策づくり”という一面もあると思うよ。

     ⇒提起している考え方(ここ)をご覧ください。

娘:  そのような考え方も必要かもね。次のグラフの「毎年20-24歳女性に1000人の移住があった場合」の例がが、お父さんの言う例なの?

父: そうだよ。また、「増減2シートから」が 新聞記事では「毎年9000人」の移住者を増やせば人口の減り幅は緩和」に近づけたグラフだよ。

娘:  両方人口が安定するね。

父:  9000人の例について、記者は「実現は簡ではなさそう」と書いているね。

娘:  では1000人なら実現は難しくないのではないか?…という提案なのね。

父:  そうだね。この場合、出生率も移動率も一切変えてはないからね。これを力に応じて積み上げるというやり方なんだ。減少を止めるという守りではなくて、人口を積み上げるという攻めの方がヤル気もでると思うよ。

500年間もの期間にわたり計算する理由

娘:  それで、当たるはずもなく、計算する自体がおかしいと言われそうな500年もの計算をしているのね。

父:  初めは30年だったよ。人口は慣性があるから効果が出るのは数十年先のことが多いから100年にした。その後の、一定の条件下で人口が安定するらしい”安定人口理論”というものを知り、それを行ってみようと300年計算にしたんだよ。

娘:  でも、今回のツールの操作には「500(年間)」と入力してほしいと書いたよね。

父:  いや、他人が考えて行うことだから、10人でも安定するかとか、3人ならどうだ等と私が思ってもいない数値を入力するかもしれないと思ってね。それで500と一律化させたんだよ。

娘:  そうなると、もう推計でもなんでもないね。

父:  そうだね。遠い将来を推計するというよりも、幾つものシミュレーションをしてみての違いを比較するためのものだね。

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ツール入手と操作方法

(手順)

1 必要数値は既にセットしてあります。最初は、これをナゾル形で動かして慣れ覚える手順で説明します。

※ツール全体の機能などを知りたい方は説明サイト(ここ)をご覧ください

①保管場所(ここ)をクリックしてファイルをダウンロードします。

niigatakensuikei.zipをダブルクリックして開き、中のファイルを任意の場所へ保存します。

③ファイルを開くと[セキュリティ警告 マクロが無効にされました。]と表示されます。[コンテンツの有効化]をクリックします。

④「増減2」シートを開きます。

〇最も上の「増減数」欄に幾つもの数値が入っていることを確認ください。

※この数値は、新聞記事『定住者増へ「百年の計」を』の朱線部分(移住対象者の例示)を想定して仮数値を入力したものです。

〇「出生数」「移動率」「生残率」欄に数値が入っていることを確認ください。

※「新移動率」欄は、移住してきた人は二度と流出しない前提のため空白となっています。

※「旧移動率」欄は、移住者後に誕生した子どもは地元の子どもと同じ移動率を使う前提のため数値が入っています。

※新移動率、旧移動率欄は、両方とも独自に想定する移住率の設定は可能です。

⑤「推計2」シートを開きます。

〇「推計開始」ボタンをクリック⇒「何年分」との問いには小文字の数値で「505と入力して「OK}ボタンをクリックすると推計を開始します。

「移動率など削除」ボタンは消さずとも上書きするので押さなくても支障はありません。

※例えば30年分したい場合は「35}と記載してください。「505」は500年分の意味です。

〇「終わりました」には「OK」をクリックして終了です。

マクロで計算のため1分余り必要です。画面がパタパタと動きます。

⑥「総合計」シートを開きます。

〇「合計消去」ボタンをクリック⇒次に「統合」ボタンをクリックします。

既に計算してある「合計」シートの数値と、計算した今の「合計2」シートが合計されるシートです。

※「合計」シートは、いわゆる通常の人口推計で既に行ってあり何もせずとも結構です。

※なお、通常の人口推計は、この「推計」「増減」「合計」の各シート、シミュレーションは、「推計2」「増減2」「合計2」の各シートで行います。

⑦「グラフ500」シートを開きます。

※幾つかのシミュレーション結果を一覧できるようにし比較するシートです。

※空いている欄で「総合計転記」クリックすると、計算した今の結果が「総合計」シートから転記されます。転記結果は、予め計算して転記した『「増減」シートの例』と同じはずです。

 

2 次のメモを参考にして新たな数値を入れて自分で動かしてみて下さい。

〇「県人口50年に141万人」では、人口の0.4(年間で約9000)の移住があれば2050年に1,855,247人とあります。

・しかし、先に行ってもらった例では、わかりやすい数値を入力したもので1,936,251(1)と多くなっています。何処かを減らせば近い数値になるでしょう。

※1 どの年齢層に入力するかは、『定住者増へ「百年の計」を』の朱線にある年齢層に沿って記載しました。

〇入力する人数の単位一人からOK、何年目から入力してもOです。最も左側欄に入力すると「コピー」ボタンで全体へ転記されます。(2)

2 入力した年は出生や死亡はなく、入力した人数のUIターンとなります。また、5年分の入力ですので、例えば「毎年999人の移住」であれば、入力は5倍の4995人となります。

〇「一括」シートは「現状」みるシートです。

※県外との流出入がない「封鎖人口」でも、全ての若者が流出せずとも、出生率を2.08までアップしても減少します。新潟県は人口の自己再生力がない地域のようです。

※既に計算してありますので「実行」ボタンをクリックする必要はありません。

〇「一括2」シート「再生の目安」を知るシートです。

※「増減2」シートで再生のために入力する「男女」「年齢層」「年次」の組み合わせは非常に多くなります。このため、特定年齢に何人いると再生するか、合計特殊出生率が幾つになれば再生するかの目安を予め知り、「増減2」シートで具体的に入力することになります。

 

余談 ~当記事とは関係ありませんが~

娘:  ホームページの入口”地域工房・経営工房”サイト(ここ)が少し変わったわね。どうしたの?

父: 一言でいえば “店じまい”だね。後期高齢者になると、体力気力が急に変化してくのがわかるよ。私の上の年代や同年代で知っている人が次々と亡くなったよ。人それぞれの人生が、人それぞれが創る舞台だとすると、もう降りる時かな…とね。

娘:  それで、昔からのホームページ部分を「資料室」として残したのを削除したのね。この「記事」サイトは、今回のアップをみると頑張っているみたいだけど?

父:  いやいや、誰しも持っている自分用に使ってきた道具としてのツールを提供したのは、自分で何かを突き止めることは終わりにしようということだよ。

娘:  そうなの。

父: 人口推計に興味をもったキッカケは、40数年前の”村おこしブーム”のときに仕事で携わったことだよ。古里の行く末を知りたいと思い計算方法を習い、計算してみると減少していく結果だったので、どれだけ増やせば再生できるのかを知るためにシミュレーションを始めたよ。

娘:  それで?

父:  今は、再生活動に参画しようという気持ちから、みんなが頑張る古里の行く末を見届けように気持ちが変わったよ。

娘:  引退だね。最近の言葉でいえば「卒業」かな?

父:  そうだね。多くの現役者と”共通する舞台”からは卒業するよ。そこでは自分達のために頑張っている人達がいるし、その結果の恩恵もうまくいかない責任も各々が負っているんだから…

娘:  お父さんは、もう結果について責任もなく、結果についてあまり困りもせず、まして当事者でもない立場だからね。その方がいいかもね。

父:  うん。

娘:  近いうちに孫に会いに来てよ。手に負えないでいるから…

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