父: 本当なのかなあ?
娘: 何のこと?
父: 危機感があるというけれど、人口減少って挨拶がわりになっているだけと感じていたからね。
娘: お父さんが感じているのは、次のサイト(ここ)にある「多くの地域づくりは、沈みゆく船の中で船旅や船内の活性化を叫んでいるような気になることもあります。」という部分ね。
父: 「消滅」がありうるとまで思う地域の動きとは少し違うような気がするよ。
娘: このタイトルの意味は、佐渡市というのは地域を括った概念、だから問題を目の当たりにするのは個々の生活の場...だから自分の家の消滅という視点で、我が身、我が子、そして我が孫に困ること、我が家の負の遺産?を残すことはないか考えてみようということだよね?
父: そうだね。
娘: お父さんは、それを考えてて「家じまい」したの?
父: うん。 過疎地であれ都会であれ、子ども等が家を継がなければ「空き地」か「空き家」になるよ。
娘: 消滅への順序は、継ぐヒトが無ければ「空き家」が増え「隣組」を構成するヒトが無くなれば、無くなった順番で隣組が無くなる。隣組が無くなれは、それで構成する集落が無くなるよね。どの集落もヒトがいなくなれば自治体の消滅という流れだよね。
父: 「隣組」「集落」というのも個人の生活の場となる「家」を括った概念ともいえるよね。だから、自治体消滅は最後になる流れだよね。また、よく「日本の人口が減るから我が地域も...」という言い方をするけれど、本当は「我が地域の人口が減り、他の地域の人口もへるので総合計としての日本の人口が減る」だよね。
娘: それはそうだね。
父: その過程で集落で使っていた集会場、氏子が支えていた神社等が消滅するんだね。それから「個人事業」の財産の考え方は我が家と同じだね。
娘: 一昨年、神社の閉社と二つの堂の閉堂をしたものね。どれも、「よいことではないけれど仕方なかった」が氏子や地域の人達の評価だったのかな?
父: 報告書には「苦渋の決断」という言葉を使ったよ。どの”終わり”も、大きなエネルギーがいることだった。
娘: 自治体消滅など他人事のように思うけれど、実際には個人が最初に困るんだね。そして関係していたものをどうするかが問題となるんだね。困り事がおきる現場は個々の生活の場なんだね。
父: そうだよね。家を空き家にして残すことは子ども、そして孫に相続されることになるよ。相続放棄しても子や兄弟に管理責任が問われるし、この4月に施行された「国庫帰属制度」を使っても引き取ってもらえないところも多いよ。きっと!
娘: 確か、来年から相続登記は義務化されるよね。
父: そうだね。ただ今ある空き家は相続登記されていなければ相続人は倍々で増えているはず。だから将来へいくほど解決は難しいね。
娘: そうすると、佐渡市も消滅の危機が十分あると考えているということは、全ての家は空き家になるということだよね。自分の子どもは継いでも、孫が継ぐには佐渡の過疎化がかなり進み、ハンディが更に大きくなるから…
父: 極論だけれどね。だから、「我が家の場合はどうなのか」「我が事業の場合はどうなのか」考えてほしい。特に、移住したり起業で不動産を取得した方は、遠いところにいる子どもや兄弟姉妹に、負の遺産として継がれることはないのか?...よく考えてほしいね。
娘: 確かに、その年になりそんなことをして、自分のやりがいは達成するかもしれないけれど、それが子どもや孫、兄弟姉妹に影響することを考えているの?…というようなことは割と多いよ。
父: そうだね。若いときは此岸から将来をみるからね。でも、年取ってきたら彼岸から今をみることが大事だよね。それが終活だと思うよ。
娘: そのように考えると、空き家活用って過疎化への対症療法をしているようでもあるね。
父: あまり過度に進めることは、解決すべき今の問題を子や孫の世代へ先送りしているだけのことにもあるからね。先にいくほど過疎は進むし解決は難しいよ。
娘: 最後に、「家じまい」「閉社」「閉堂」をしてきて、こんな準備をしておけばよかったと思う反省点はあるの?
父: あるよ。どの場合も思い反省したのは「お金を貯めておくべきだった」だよ。後の祭りだけれどね。
娘: 消滅までのカウントダウンをしよう!…ということ?
父: 前述のカウントダウン時計はパロディーだよ。目的は、「「思いっきり遠くを見ることで、今すべきこと、すべきでないことがわかるときがある」という視点から掲載したんだ。
娘: 将来人口推計しても、将来の出生率、生残率、移動率はわからないよ!
父: 「既に起きた未来を観察しよう」と言っているドラッカーも「推測はいけない」と言っているよ。
娘: ではどうするの?
父: 今の数値を基に、そのまま将来を投影するだけ、「今のままだとこうなる」と消滅までの状況を示すだけだよ。
娘: 観察したことの裏付けをとる作業の一つということね。
父: どの自治体でも使っている社人研の人口推計は当たらないよ!
娘: そんなことを言っていいの?
父: いや、出生率、生残率、移動率などの将来の変化を知る作業をして加味しているんだ。
娘: ということは、誤差がでるのは変数の将来の変化の誤差なのね。
父: そうとも言えるね。だから、正しい誤差かもね? ただ、ある地域の実数と推計に大きな誤差があったときに、「激減」というニュアンスの文章を作った例をみたよ。でも、変化を見込まない変数で計算すると誤差は1%未満だったよ。
娘: だから、今のデータを単純に投影した将来をみることも大切ということね。
父: うん。
娘: 今のままだとこうなるという将来人口推計をするとして、次はどうするの?
父: 見た人は、「そんなことはない」「そうなるかもしれない」「どうすればどうなるのか」と普通は思うよ。
娘: そうだね。
父: 次は、「どうすればどうなるか」はシミュレーションを条件を変えて行えばいいよ。消滅しないための必要で十分な数値を知ることができるよ。ただ、消滅しないためには、あまりにも高すぎる数値目標が必要という地域が多いよ。きっと!
娘: お父さんが昔よく言った、「過疎脱却か!と言われた地域も、今は何事もなかったかのように減少が続く地域が多い。それは興した事業と同規模のものを毎年新たに興し続け、雇用などを増やさなければならないことを計算していないため」ということね。
父: 工夫が始まると思うんだ。
娘: 次の人口ピラミッドは「佐渡島」の例だね。
父: そう。60歳以上の人が人口の半数いるよ。40年後には殆
どの人が亡くなる。
娘: 年間600人余りだね。毎年1000人位の人口減少があるというけれど、その原因の多くは亡くなる人がいることなんだね。
父: その下の年代は、30-59歳だけれど逆三角形だよね。これを力づくでピラミッド型にしようという試みができるか?
娘: 手段は移住だよね。でも、この40年間で三角形のピラミッドにするのは難しいかもしれないね。
父: とすれば、一番下の年代層を長い時間をかけてピラミッド型にするしかないと思うんだ。
娘: ピラミッド型だけを考えれば、人数は今より少ない人口でもいいんだよね。
父: そうだね。まず「少ない人口でもいいんだよね」について皆が「仕方ない」と思えないといけないけれどね。
娘: わかった。「思えないといけない」ではなくて、「それしかない」とシミュレーションしてみて「自分で思う」ことが必要ということね。
父: そう思うよ。でも、一旦思えれば「継続した地域づくり」は多様になるよ。きっと!
娘: でも、消滅する可能性は残るんでしょう?
父: それは勿論だけれど、力に応じて人口は安定することができるんだ。誰も、どこでも行ったことはなく、でも机上だとできるんだ。それだ゛けに自信はないけれどね(笑い)
娘: 安定人口理論のこと? 理論的には認められているんでしょ!
父: 次のグラフだよ。移住者は数人でもいいよ。ただ、それに応じた人口になるだけ!
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