人口と産業の関係の検証と修正 ~上の画像のタイトルに関連して…~

By gkmyhn, 2023年10月24日

かつて「リーサスの政策アイデアコンテスト」に応募したことがありました。そのときの表紙が上のキャプション画像です。「産業力」で「人口」は変えられると思っていました。その後、小規模企業白書で「小規模事業者数は人口千人当たり一定」とあることを知りました。必ずしも言い切れないことが気になっていました。この度、その点に触れる機会がありましたので以下のとおり考え方の修正など報告します。

 

産業力で人口は変えられる⁉ ~産業力で人口減少を改善した例~

次のグラフをみると「人口」の減少が緩やかになった箇所がわかります。

この当時は、「工業」では企業誘致による工業出荷額の倍増、そして離島ブームにのった観光客の倍増が僅か数年でありました。その産業と人口の客観的な関連性はわかりませんが、数値上の相関はしています。金山の昔に相川だけで数万人もの人口となった例と同じく、戦後唯一の産業力で人口の流れを変えた現象と私は思いました。こうして、「産業力で人口は変わる」と思ったのが上のキャプション画像です。

人口が事業者数を決めるとも⁉  ~昭和50年から令和2年まで人口千人当たり事業所は約70と一定~

産業力で人口が決まると思っていたところが、2016年版小規模企業白書で次の記載がありました。人口千人当たりの小規模事業者数は一定というものです。

 

そこで、佐渡島の昭和50年からの人口と小規模事業者だけでなく全事業者数でも比例するのではないかと比較したみたのが次の表です。

黄色のセル「人口千人当たり事業所数」

が見事に一定していました。

※白書の「小規模事業者数」とは、卸小売、飲食、サービスの業種は従業員5人以下、製造、建設、宿泊、娯楽業は20人以下の事業所をいいます。佐渡の事業所の9割近くが該当します。

 

この理由は下のグラフです。企業は販売先が島内であることが極端に多いのです。このため、人口が減少すると事業所数も減少していくことになっていました。(佐渡連合商工会2015年調査)

 

 

 

 

このように販売先を島内とする限り、仮に強い企業が育っても、全体需要が減少していく中で地元商店街の利用割合が約20%、大型店・コンビニが60%余りという例のようにに、売上が偏るだけとなってしまいます。 (県消費動向調査h30)

 

 

 

島外から雇用できる産業  ~最近の人手不足の捉え方~

前項では、これまでは人口千人当たり事業所数が一定であることを紹介しました。そこで、将来の推計人口を基にして、働き手の人数、た事業所数、そして従業員数を計算してみました。次の表です。

最も右の列がマイナスとなっているのは、働き手として仮定した20-64歳人口よりも、事業所が必要とする従業員数の方が多い状況を意味します。いわゆる「人手不足」です。この減少は、前項の令和元年までの表をみても既に出だしています。

この表からみると、今の人手不足は一時的なものではなく、人口減少からくる構造的なものである可能性が高いでしょう。

そうだとすると、島外から雇用できるだけの事業所を育てるか、または島外販売できる事業所、販売先が島外にある事業所の誘致など、それが「産業力で人口減少を改善する」ポイントになると思われます。人口減少を改善できる力とは、島外販売できる企業で、かつ不足数を島外から雇用できる企業の育成ともいえましょう。初めの項に記載した戦後、唯一の成功体験である「企業誘致」「観光倍増計画」の例でしょう。

 

島外調達の内製化や地産地消による自給率アップ ~

島外に人の多くを雇用していること、多くを扶養していることになる悔しさ~

次の表は、ちょっと古くなりますが、佐渡市が産業連関表(h19年)を独自に作ったものを、少し大胆に、そして少し無茶して企業の決算書として加工したものです。より連関表を理解するために作成したもので、公に資料として提出する類のものではありません。

この島外からの移入1518億円に注目してみましょう。

仮に島外の購入先を一社として、その経営内容は同表の佐渡に準ずるとしてみます。そうすると、1518億円の売上から表にある雇用者所得にまわるのは約30%です。金額にして466億260万円です。一人360万円の年間賃金とすれば、その会社の従業員は12,945人。360万円あると配偶者と子ども一人を扶養できるとすれば38,835人分の生活費です。

佐渡の働き手の数2万人余りの人が、苦労してやり繰りしているいる中で、島外に4万人弱を扶養?していると考えると悔しさが募ります。

 

 

 

(参考)

落選しましたが、冒頭で紹介した「リーサスの政策アイデアコンテスト」に応募したファイルを添付します。興味のある方はご覧ください。(ここ)

 

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