人口戦略会議の「消滅可能性都市」 ~千数百か所の市町村別の出生数計算と気づいたこと!~

By gkmyhn, 2024年4月25日

はじめに

この4月に人口戦略会議が公表した「消滅可能性都市」の分析レポートに次に記載した内容の文章があります。その主旨は、前回の「若年女性人口」の増加の視点に加え、今回は「出生率」の改善による分析を加えたというものです。

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〇2014 年の分析は、「20~39 歳の女性人口」(以下、若年女性人口)の将来動向に着目したものであった。若年女性人口が  30 年間で 50%以上のスピードで急減する地域では、70 年後には 2 割に、100 年後には 1 割程度にまで減っていくことになる。このような地域は、最終的には消滅する可能性が高いのではないか、と推測したものである。

〇これは各自治体に大きな影響を与えたが、各自治体の人口減少対策は、どちらかと言えば人口流出の是正という「社会減対策」に重点が置かれ過ぎているきらいがある。東京圏への人口流出の防止はともかく、若年人口を近隣自治体間で奪い合うかのような状況も見られる。

〇こうしたゼロサムゲームのような取り組みは、結果として出生率向上に結びつくわけでなく、日本全体の人口減少の基調を変えていく効果は乏しい。


1全国市町村別の目標となる出生数

人口戦略会議が発表した「人口ビジョン2100」には、2100年に人口を8000万人を目標とし、できれば人口が安定する「定常化」を目指すとあります。そのためには、現在は全国で1.26の合計特殊出生率を2040年頃1.6、2050年頃1.8程度、そして2060年までに人口置換え水準2.07を達成することが望まれるとあります。

そこで、全国各市町村別に1.6、1.8、2.07となるには、2020年の0-4歳子ども数、15-49歳女性数を基にした場合、あと何人の出生数が必要かを数値で示してみました。自分の市町村の出生率や出生数の凡その数値はわかっていても、それを1.6、1.8、2.07にアップするには何人の出生を上乗せする必要があるかまで言えることは少ないと思います。まず、自分の地域の目標となる出生数をご覧ください。

次に、「人口ビジョン2100」「消滅可能性とし分析レポート」では、いろいろなことを考慮したり配慮して、やんわり?、まわりくどく?書いてありますが、必要なのは出生率を背景にした「出生数」であれば、それを直接示してみたいと考えたものです。経営では、計画や目標など行いたいことを「数値に置き換える」場面が必ずあります。何も知らなくとも、全く理解をしていなくとも、それを達成さえすれば必ず目的も達成できるという「わかりよさ」でもあります。決して、子どもを「もつ」「もたない」自由について触れたいものではありません。

また、このようなことをせずとも、現場では必ず数値は作成しているのですが、全体として計算してみると「気づき」もあります。それを含めて以下に記載しました。

計算結果

その一部を抜粋すると次のイメージ図表のとおりです。詳細は、(ここ)からダウンロードしてご覧ください。エクセルファイル「全国地域別の目標出生数と人口」に「地域と人口」シートがあります。自由に加工などができるように計算式も入れたエクセルデータとしてあります。

※ウィルスチェックをしていますので次の操作を願います。「安全にラウンド―ドできません」のメッセージがある場合: 表示された右横の[・・・]クリック➡保存➡保持➡名前をつけて保存  ファイルを開いてときに「ウィルス感染の恐れがあります」のメッセージがある場合: 「編集を有効にする」をクリック

なお、基になる資料は、社人研の「都道府県・市区町村の男女・年齢(5歳)階級別将来推計人口」」を使わせてもらってあります。この資料の中から、次の図表の必要事項を抽出し、出生率や出生数などの必要事項を追加しました。

なお、この資料による地域数は1904箇所です。しかし、次の「3全国市町村別人口」(出所:人口戦略会議「人口ビジョン2100」)によると、全国市町村数は1729箇所で175箇所もの差異があります。この点については、どこが重複しているのか私ではわからず1904箇所の全てについて計算してあります。したがって、一つの地域が複数地域として記載してあることが分かる方の場合は、必要に応じて組み合わせを変えてください。エクセルファイルのセルには計算式も入っていますので容易に計算できると思います。

また、同じ現象が「人口合計」「子ども合計」「女性合計」の各欄においても出ており合計数値か同様に大変多くなっており重複していることがわかります。この点についても、その「多い数値」を基に計算してあります。各地域別の計算数値には問題は生じていません。

気づいたこと

経営の場合、割り算掛け算は評価や判断を即行う場合に使います。問題や課題はわかりますが、具具体的な改善など行動に結びつくのは「生のデータ」を眺めて気づくところをアレコレ取り上げ、加減乗除していくことが良いようです。

これと同じような過程を経て、まずは自分の地域の状況をみて周辺地域の状況をみて、そして全体を見ていきました。「1」台ばかりの合計特殊出生率が続くのをみていくと、今までは「そうならざるを得ない」環境のことが浮かび、人口問題は「日暮れて途遠し」なんだと解決の難しさを感じていました。今は、一世代が変わる事に夫婦で子ども一人という状況下は、持続的な社会とか、夢ある未来をとか、元気ある地域とか以前のことで「あり得ない」状態に慣れてしまっている自分を感じました。改めて「沈みゆく船の中」で船内での楽しさ元気よさ、その持続を言うことの多さに懸念を抱きました。

また、改めて言うほどのことではないのですが、前項の「図表」を見ると必要な出生数の80%は、22%ほどの大きな大都市に達成を期待する結果となっています。大都市の合計特殊出生数がアップしない限り目標は達成できません。例え、残り20%の出生数が目標とする過疎地域の全てが、その数値を達成できたとしても、全体の必要出生数には遠く及ばないことになります。それは人口8000万人の達成にも影響します。

2 ブラックホール型自治体

「人口の流入」によって人口の維持や拡大をしている地域をブラックホール型自治体と呼ぶとしています。

2014年の消滅可能性都市の発表の際に、若者に人気のある「豊島区」が該当していました。それは何故なのかと思い、当時作成したのが次のアニメgifです。

動いている期間が何年か正確には忘れてしまいましたが、生まれた子どもが亡くなる位までの期間のものと思います。眺めていると、生まれた子どもが20代になると急に多くなるのに気づきます。ヒトはコピーで増殖することあり得ないので、他地域からの流入であることがわかります。

当時の私は、この流入が将来なくなったら風船が萎むように一挙に人口減少が起きるだろうとかと考えました。それが、私の思う「消滅可能性都市」への豊島区の該当理由でもありました。この見方は今も同じです。豊島区は出生率が大変低い状況で今もそうです。アニメgifでは子ども数もジワジワ増えていますが、これは再出産年齢の女性達の流入の多さが主な要因と思われます。

このような状況は、25箇所あるとする他の「ブラックホール型自治体」でも殆ど同じす。これらの力ある自治体が、特殊出生率2.07を超えない限り、日本全体の「人口の定常化」は難しいでしょう。

それだけでなく、「消滅」の不安という研修や訓練では治らない中で、きっと出生率をアップする過疎地から、巣立ち本能、夢の実現可能性、多様な生活を求める若者達は、これからも集め集まることでしょう。その集まる地域の「未来」は、アニメgifの細い子ども層で、その子ども達は夫婦二人で一人の子どもを持つとなれば、まさに日本全体の人の流れの行き着く先「ブラックボックス」と感じるに至りました。

 

3 全国市町村別の人口

この人口は、別記事「人口戦略会議『人口ビジョン2100』の提言を計算してみた! ~日本全体と新潟県と佐渡の例」で、かなり昔の数値で紹介しまた。2020年版ができましたので紹介するものです。

資料の出所は、このほどの「人口戦略会議『消滅可能性都市』資料」です。ここから人口に関する部分を抜き出して、また複数の項目を加えて計算したものです。

詳細は、前項目「3-計算結果」に記載した「全国地域別の目標出生数と人口」に「地域と人口」シートがあります。ダウンロードしてお使いください。下の図表(抜粋)でもわかるように、全国市町村が1729箇所で、その人口の80%は25%の430市町村に住んでいいます。

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