世界遺産登録を契機に「人口の定常化」ができるか? ~産業連関表シミュレーションで見みる夢~

By gkmyhn, 2024年4月8日

過去の”成功体験”に似た構図にある佐渡

娘:  これって、図表のことだよね。

父:  そうだね。国の企業誘致政策と県の観光倍増計画が契機となり僅か数年で本当に倍増したね。人口減少の流れ変わったのがグラフでわかる。

娘:  確か、お父さんも企業誘致でUターンしたんだよね。観光は、うまく離島ブームに乗れたのかな?

父:  そうだね。雇用は農家の人達が多かったね。当時は、冬場に出稼ぎにいく時代だったんだ。また、観光は沖縄と同程度の入込数だったと思うよ。

娘: なるほど。その当時の状況と今が似ている構図にあるというの?

父:  うん。世界遺産登録で考えるられる最も成果があったときを想定してシミュレーションしてみたよ。

娘: 佐渡の「夢」として計算してみたわけね。でも産業規模が大きくなると、「人手不足」が更に出るよね。

父:  そうだね。特定地域づくり事業協同組合で移住者の受け入れや定着をねらったり、事業者の雇用対策として組合設立などの動きもあるようだからね。また、短期的にも雇用の需給をつなぐサービスも始まったようだしね。紆余曲折があるだろうけれど、修正を繰り返しながらうまくいってほしいと思うよ。

娘:  でも、絶対的な人で不足があるんだよね。

父:  そうだね。ただ、表ののように65歳まで働ければ人数的には足りるかもしれないね。

 

人口の定常化

娘:  「人口の定常化」って何?

父:  国は、次のように言っているよ。どこかで人口減少が止まり安定して持続できるようになることだね。

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人口戦略会議「人口ビジョン2100」では、人口急降下に伴い、社会も個人も選択の幅が 極端に狭められるような事態を回避し、国民が、人口減少がどこかで止まるという確固たる将来展望を持てるようにします。
①仮に人口が定常化しても、その人口規模が現在より小さくなることは避けられません。
②一方、定常化戦略を推進しても、その効果が本格的に表れるまでには数十年を要します。
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娘:  「数十年」って60年間前後かな?。今の40歳以上の人は亡くなっているだろうから、今の子どもや若者層を「人口の再生産」ができるように安定させることかな?
父:  そう思うよ。まず「転出入」の差を無くして、出生率をアップすれば近づける….とね。 人口が置き換わることができる合計特殊出生率「2.07」はほしいけれど、若者層の移住や子ども留学

制度などで子どもが増えれば無茶な出生率を目標にはしなくてよいかもね。
娘: 右のグラフは、確か以前にあった「今の出生率でも年30人の男女半々で20-24歳かUIターンによる新規雇用が続くと3655人で一定する」というシミュレーションだよね。
父:  そうだね。後は、力に応じて30人雇用を増やしてみるとか、出生率を変えてみるとかすれば佐渡に応じた持続可能な「人口の定常化」はできるかもしれないね。

 

産業連関表シミュレーションを使ってみよう‼

娘:  どんな計算をするの?

父: 使うツールは、10年位前まで使っていたものなんだ。
娘:  古すぎるね。大丈夫なの?
父:  直接効果は問題ないけれど、波及していく部分は産業構造をはじめ変わっていることの方が多いと思うよ。
娘:  じゃあ目安ってことね。
父:  そう、経済波及効果って誰かが行ったものを「世界遺産登録の波及効果は何億円」などと知るだけが多いよ。自分で行うと更なる展開のアイデアも出てくると思うんだ。
娘:  それから、使ってみる場合に注意することがあったよね。確か「雇用効果」が次のように著しいことかな?
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令和4年度 佐渡観光データ調査分析業務報告書(佐渡観光交流機構): 売上効果は報告書307億円、私302億円。雇用効果は報告書2950人とある。しかし、これが今回シミュレーションでは1469人しかならない
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娘:  雇用誘発が下の表よの2倍かもしれなってことね。差が大きすぎるね。
父:  同報告書には、「全国の「観光雇用効果÷生産年齢人口」の2倍以上の効果がある」と記載してあること、佐渡の宿泊業の雇用数が1200人前後ということからみると、報告書の数が多すぎるかな?とも思うよ。ただ、連関表シミュレーションで使っている数値や比率が昔ものだからね。
娘:  お父さんは、産業連関表を自分で作ったの?
父:  平成19(2007)年に佐渡市が「離島地域における地域産業の再生に関する研究」に関する報告書を作成したよ。そのときに「産業連関表」を作ったんだ。その時に習ったんだ。当時は、全国の自治体でも「産業連関表」をつくることは稀だったようだね。
娘:  なるほど。じゃあ、佐渡市が持っているということね。
父:  公表はされていないと思うけどね。いままでは前述したように、「世界遺産登録の波及効果はこうです」「何々の波及効果はこうです」という使い方が中心だね。
娘:  どうしてほしいの?
父:  「世界遺産登録」を活用して「このようなことをするとこうなる!」という先々の行動のためのツールと思っているよ。
娘:  なるほど。じゃあ、どんなことを想定してシミュレーションしたの?

(1)観光部門

①観光客

父: まず 100万人の観光客達成を入力してみたよ。
娘:  ほかには?
父:  観光客の入込み以外は、次の表のように設定してみたよ。

②視察受入れ

父:  「視察受入れ」を目指したね。商工会勤務の現役の頃に思ったんだ。毎年、役員、青年部、女性部、商業部会、工業部会、サービス部会、職員旅行など幾つかの旅行があったよ。商工会は今でも全国1600箇所ほどあるよ。凄い数の旅行数だね。
娘:  「一度、世界遺産の佐渡」へと呼びかけるわけね。そういうことなら、議員さんはじめ多くの組織団体が視察旅行するね。

③イベント

父:  「イベント」で呼びかけるね。
娘:  自分達がお金出すのも「経済波及効果」に入れるの?
父:  そうなんだ。誰がお金を出すかではなくて、「お金が動く」必要や仕掛けがあれば全て波及効果は出るよ。

④建物建築や改修

娘:  えっ? 施設をつくったり「空き家」を「店」に改修するのも波及効果なの?

父:  もちろんだよ。世界遺産登録を見込んで施設をつくったり、空き家を改築したり、店を改装するのは大きな波及効果を生むよ。

娘:  そうか! じゃあ、100万人観光となり、個人客が多く、車が多いとなれば、どの道路でも店頭近くを観光客が通るよね。一般の店でも観光客用のものを揃えるために、お金を出して準備するのも波及効果になるのね。

父:  そのとおりだね。

(2)企業や働き手の誘致

娘: 地理的距離や時間的距離をコストその他で感じさせないとなればIT企業などだよね。また、「多様な働き方」からみれば、「仕事する場を佐渡にしてもらう働き手」の誘致かな。

父:  そうだね。

(3)自給率アップ

娘:  えっ? これって、「地産地消」のこと?

父:  「地元で必要なものは地

元でできるだけつくる」ことだね。「地消地産」かな。

娘:  そんなことで効果があるの?

 

父:  大きいね。ほらっ! 原料の値段が上がると、その原料を使っている多くの商品の値段が一斉にアップするよね。その原材料などを地元でつくっていれば生産高もあがり更なる波及が始まるよ。ツールでは、各産業共に10%アップした例を示したよ。この場合、しない場合に比較して38億円の売上効果があったよ

娘:  身近な例

を考えると、「欠航」すると店の棚がガラガラになるのを見るけど、あの棚が地元の商品で埋まれば、その納品者の売上もあがり波及が始まる…ってことだよね。

シミュレーション結果にみる夢の波及効果

父:  こうして出たのが、「売上効果」効果880億円、「雇用効果」4385人だね。前述のように「雇用効果」の方は、前述の佐渡観光交流機構の同報告書では2倍位になるようだね。

娘:  令和3年の佐渡の産業の総売上高は2750億円で、雇用人口は23734人だから凄い数値だね。

父:  そうだよね。どの地域にもない大きなチャンスが目の前に迫っていると思う。

娘:  右のグラフは、世界遺産登録の翌年の入込数を”100″とした場合の、その

後の入込客数の推移ね。すぐに減る場合もあるんだね。

父:  そうだね。これだけ期待し準備しているようだから、減少からスタートすることはないと思うよ。

娘:  それに、減少してから増えるところもあるしね。修正しながら進んでいるだろうね。

父:  まあ、これだけのチャンスがある地域は、今の時代では中々ないと思うよ。

娘:  頑張ってほしいね。

ゲームのようにシミュレーションしてみよう  

  ~ツールのダウンロード~

次にあるエクセルファイルをダウンロードして使ってみてください。

➡連関表シミュレーションver3-sekaiisankouka(ここ)

事例として「数値」を入力してありますから、それを訂正したり、思いつくアイデアで当たらな数値を入力してみてください。

なお、このツールは20年近く前の佐渡の産業構造を基に作成したものです。近似値となる場合があっても、「公」の場で使うものとはならない点に注意ください。佐渡市には新しいものがあると思いますが、誰もがゲーム感覚で使うようにはなっていないか、使えるとしても公表はしてはいません。

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